“マージナル・ゲイン”で資産を増やす
これはフランスの地図です。
地図の上に黒い線が描かれているのがわかりますね。
これはあるレースが行われる際の
コースを表しているのですが、その長さ3,000Km。
日本列島が約3,000Kmありますから、
北海道から九州まで行けてしまう距離ということです。
しかも、このレース、
自転車で3,000Kmを走り切るものなんです。
この大会はツール・ド・フランスと呼ばれ、
世界有数の自転車ロードレースの一つ。
距離が3,000Kmと長いだけではなく、
高低差が2,000mあると言われるほど
過酷なレースです。
そんなレースで「イギリススポーツ史上最大」とも言われる偉業を
成し遂げた人物がいました。
彼の名前はデイブ・ブレイスルフォード。
彼は自転車ロードレースの指導者として有名で、
過去にも数多くの功績を残してきました。
例えば、
2000年のシドニーオリンピックで
イギリスチームを初の金メダル獲得へ牽引。
また、2004年には2つの金メダル、
2008年には8つ、2012年にも8つと
数々の金メダル獲得に貢献してきました。
そして、1903年にツール・ド・フランスが開催されてから
一度もイギリスチームが優勝したことがなかった中、
ブレイスルフォードは2013年に
イギリスチームを優勝へと導いたのです。
この優勝は「イギリススポーツ史上最大の偉業を成し遂げた」と
世間で絶賛されています。
では、なぜブレイスルフォードは
イギリスチームを優勝へ導くことができたのでしょうか?
それは、ブレイスルフォードがチームに取れ入れた
ある考え方のおかげでした。
実はこれ、投資をする上でも
とても大切な考えなんです...
小さな改善で大きな飛躍を果たす 「マージナル・ゲイン」
ブレイスルフォードはツール・ド・フランス優勝時に
受けたインタビューで、
このようなことを言っています。
「大きなゴールを小さく分解して、一つ一つ改善して積み重ねていけば
大きく前進できるんです」
出所:ディスカバリー・トゥエンティワン「失敗の科学」
シンプルな考え方ですよね。
ただ、
目標達成に向けこのようなアプローチをすることを
「マージナル・ゲイン」と呼び、
スポーツ業界だけではなく、
ビジネスの世界でも注目を集めているんです。
また、軍隊にも利用されている
アプローチ手法だそうです。
では、ブレイスルフォードは
この手法を活用して具体的に
どのようなことをしていったのでしょうか?
例えば、
最も効率的なトレーニング方法を見つけるために、
選手たちのパフォーマンスを小さな要素に分けて測定。
それをもとに、詳細なデータベースを作成しました。
彼は
「一つ一つのデータは小さいかもしれません。
ただ、選手たちの身体の特徴などを根本から理解することに役立ちました」
と言っています。
いきなり決定的な解決策に繋がるデータを
見つけることは難しいですが、
このような小さなデータの積み重ねが
大きな結果につながったというわけですね。
また、このマージナル・ゲインの考えを
取り入れたのはトレーニングだけではありませんでした。
- 選手たちが就寝する際には、それぞれ専用のマットレスや枕を導入。
これによって選手たちの寝る場所が変わったとしても、
できるだけ同じ環境下で就寝できるよう工夫しました。
- 新しいホテルに泊まる際はスタッフがまず選手の部屋を掃除。
これにより感染症の予防効果を高めていました。
- 選手のユニフォームは、肌に優しい洗剤で洗濯。
これにより快適感をアップさせました。
このように、一つ一つの工夫は小さいもので
一見、「本当に効果があるのか?」と思えてしまいます。
ただ、この小さな積み重ねが
最終的に優勝へ繋がったのかもしれませんね。
このように小さな積み重ねが、
やがて大きな結果になって返ってくる。
これは、投資でも大切な考え方です。
投資を始めたてで、
まだそれほど資金が多くない状態だと、
投資しても短期間で大きくお金が増えることはありません。
そして、短期間で株価が大きく下がったときなども、
「止めてしまいたい...」と感じることがあるかもしれません。
ただ、世界一の投資家と言われる
ウォーレン・バフェット氏は
このようなことを言っています。
「喜んで10年間株を持ち続ける気持ちがないのなら、
たった10分間でも株を持とうなどと考えるべきですらない」
つまり、長期的に投資をし続けることが大切だということ。
実際、バフェット氏は長期投資家として有名で、
コツコツ投資をし続けた結果、
約1,076億ドル(約15兆円)という
莫大な資産を築きあげました。
*2022年時点。
1ドル=136円換算。
そして、長期投資が大切だということが分かる
ある面白い話があります。
それは、資産が急激に増えたタイミング。
バフェット氏が投資を本格的に始めたのは
10歳の頃でしたが、
約15兆円という資産のうち
90%が65歳以降に増えたと言われているんです。
では、なぜ65歳以上になってから
資産が大きく増えたのでしょう?
それは、複利の力が働いたからです。
複利とは配当金や利息などで得た収益を再投資すること。
それにより投資資金が増えていき、
資産もどんどん増えていくことが期待できます。
例えば、100万円を年利10%で複利運用した場合、
5年後に約160万円にお金が増えます。
これが、
10年後:260万円
20年後:670万円
30年後:1,700万円
40年後:4,500万円
と、どんどん増えていきます。
最初の数年時点では
曲線が緩やかに上昇していますが、
20年を過ぎたあたりから、
傾きが急になっていますよね。
このように複利の力が働いたことで、
バフェット氏の資産も65歳以降、
急激に増えたということです。
投資をしていて、
なかなかお金が増えていかないと、
"面白くない"と感じるかもしれません。
ただ、小さな積み重ねが
やがて大きくなって返ってきます。
ですから、
ぜひあなたも長い目で投資をするよう
心がけてみてくださいね。