“起業家集団” 8200部隊の秘密
ベンチャーキャピタル(VC)とは
スタートアップなど金融機関から融資を受けるのが
難しい企業に対して投資をする企業のこと。
これを見るとイスラエルが米国を上回り
世界で最もベンチャーキャピタル(VC)に
投資されていることがわかりますね。
イスラエルというと、
戦争ばかりしていて危険な国。
もしかしたら、そのようなイメージが
あるかもしれません。
ただ、その裏でベンチャー大国として
世界から注目されている国でもあるんです。
実際、イスラエルの調査会社IVC・ZAG社によると、
2017年に同国に流れ込んだVC投資額は
5,766億円にも及ぶと言われています。
また、イスラエル国内の
スタートアップ企業の数は現在約6,500社。
2021年時点で日本のスタートアップ企業数が
1,919社ですから、その約3.4倍ということです。
中には、グーグルやアップルに
買収される企業もあるようです。
では、なぜイスラエルでは
このようにたくさんのスタートアップ企業が
生まれているのでしょうか?
その秘密は私たちが投資をする上でも、
役に立つかもしれません。
"生き残り"をかけたイスラエルの強さ
イスラエルは元々、
ユダヤ人が創った国だと言われています。
ユダヤ人は過去2000年間、
迫害を受け様々な土地を転々としてきた
悲しい歴史があります。
1940年代には第二次世界大戦中、
ヒトラー率いるナチスに迫害を受けてきました。
そのような歴史があることから、
ユダヤ人は
「自分たちの身は自分たちで守る。自分たちの生きる場所を創ろう」
といった精神を持っていると言われています。
そして、自国を守るために、
国防にかなり力を入れているんです。
それが「戦争をたくさんしている国」といった
イメージに繋がっているかもしれませんね。
そんな国防の軍隊の中には「8200部隊」と呼ばれる、
世界有数の電子諜報機関が存在しています。
諜報(ちょうほう)とは、
秘密や機密情報を得ること。
いわば、スパイです。
8200部隊の役割はイスラエルの周辺国やテロ組織の
機密情報を取得し、
敵国のサイバー攻撃などから自国を守ること。
この8200部隊はイスラエルにいる
17万6,500人の兵士のうち約5,000人、
つまりわずか3%のみが所属しているエリート部隊。
8200部隊の訓練は特殊で、
その特徴は「徹底的に自分の頭で考え、知恵を絞る」こと。
例えば、8200部隊に配属された18歳~20歳という
若い兵士に対して、上官からは
「〇〇国のサーバーに入りこんで、データをとってこい」
といった課題が与えられます。
それに対して、上官からは一切指導は行われず、
自分たちで考えて課題を解決させることを促します。
18歳~20歳は日本でいうと、大学生の年代。
自分が大学生の頃を思い出すと、
考えられないなという印象を受けてしまいます...
このように、「自分で一から徹底的に考える訓練」が
後に一から新しいものを生み出す、
起業にも結びついているんですね。
実際、フォーブスの調査によると、
8200部隊出身者が創業したスタートアップ企業数は
1,000社にも及ぶと推定されています。
何事もそうですが、
「自分の頭で考え、知恵を絞る」ことは
やはり大切だということですね。
そして、投資でも自分の頭で考えることは
大切になってきます。
例えば、自分が持っている株の株価が
大きく下がったとしましょう。
そこで「ああ、下がっちゃった...売ってしまおうかな...」
と多くの人は思います。
ここで一度立ち止まって
「なぜ下がったのか?」を考えてみることが大切です。
もしかしたら、それを考えることで
逆にチャンスになるかもしれないからです。
例えば、世界一の投資家
ウォーレン・バフェットが投資している
アメリカン・エキスプレス(以降アメックス)を例に出してみましょう。
アメックスは米国を代表する
クレジットカード会社です。
同社は1963年に「サラダ油事件」という
事件に巻き込まれたことがありました。
この事件の顛末はアメックスがある企業へ融資をする際、
倉庫に大量に保存されたサラダ油を担保に
融資を実行したこと。
しかし、後にその企業の返済が滞り
サラダ油を回収しようとしたところ、
なんと、サラダ油が倉庫に
保管されていなかったことが発覚。
これが原因でアメックスは8,000万ドル(約80億円)
の損失を出すことになったのです。
*1ドル=100円換算。
その結果、純資産の大半を失い
株価は80ドルから30ドルへ
大きく下落することとなってしまいました。
ただ、バフェットは
株価が下がったのは一時的な原因にすぎない。
アメックスのクレジットカード事業には何ら影響なく、
利益を上げ続けると考えていたのです。
そして、同社の株に1300万ドル(約13億円)を投資。
その後、株価が上昇していき
3年後には2,000万ドル(約20億円)近い
利益を手に入れたのです。
アメックスの株価は
今でもこのように右肩上がりに
上昇し続けています。
バフェットが投資したように、
株価が大きく下がった時点で同社の株を買っていた人は
今頃、大きなリターンを得られていたかもしれません。
このように、株価が大きく下がったとしても
「なぜ、下がったのか?」と原因を考えることで、
このようなチャンスに変えることができるかもしれませんね。
もちろん、投資を始めたてで
最初からこのように考えるのは難しいでしょう。
ただ、少しずつでもいいので
「なぜこの銘柄は株価が上がっているのか?下がっているのか?」
といったように頭を使うことで、
それが積み上がっていき、
「一から自分で考えられる一歩進んだ投資家」
になれるでしょう。
投資をして資産を増やしていくと同時に、
あなたの「知恵」という一生モノの資産を
増やしてみてはいかがでしょうか?