「そろそろ円高に揺り戻す」という主張が、「説得力に欠ける」これだけの理由

2022年09月14日

円安の動きが再び活発になっている。1ドル=140円を突破した後、一時は145円目前まで円が売り込まれる場面も見られた。メディアでは為替を予測する数字が飛び交っているが、為替レートというのは理論的に予測できるものなのだろうか。 【写真】125万人が忘れている「申請しないともらえない年金」をご存知ですか

為替の「正確な予測」は可能?

〔PHOTO〕iStock

 結論から述べると、経済理論や金融理論を使って為替レートを正確に予測することは原理的に不可能である。筆者は今回の円安が顕著になり始めた2022年3月の段階から、一貫して「今後、急速に円安が進む可能性があり、年内に150円に到達しても驚かない」といった話を、自身が執筆する記事や出演したテレビ番組などで繰り返し述べてきた。  当時の為替レートは、1ドル=110円台であり、「150円などあり得ない」といった見解がほとんどだった。このため、筆者のように大幅な円安を予想する論者に対しては、かなりの批判が寄せられた。  結局のところ、為替市場は筆者らの予想通りに動いて来たわけだが、筆者は為替が理論上いくらになるのかという数字を直接的に計算したわけではない。経済理論や金融理論を使って分析できるのは、現状のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から「円安が進みやすいのか」「進みにくいのか」、そして、為替の変動幅が「大きいのか」「小さいのか」というところまでである。  筆者は、春の段階において各種のファンダメンタルズから、大幅な円安が進みやすいと判断し、過去のボラティリティ(変動幅)や製造業の単位生産コストなどを参考に、1つの目安として150円という数字を提示したにすぎない。言い換えれば、細かいレベルで「何円まで行く」「何円を突破する」という予測は理論的には不可能であり、もしそのような予測が存在するならば、それはある種の「予言」や「魔術」の領域に入ると考えて良いだろう。  では、「円安になりやすい」「円安になりにくい」という状況は、どのようにして判断すれば良いのだろうか。  今回の円安は、一般的に「日本と米国の金利差が原因」と説明されている。米国は量的緩和策を終了しており、インフレ対策を最優先する必要性から金利の引き上げフェーズに入っている。一方、日銀は大規模な緩和策を継続中であり、ゼロ金利政策が続く。  米国の方が金利が高く、日本はほぼゼロ金利なので、米国の方が運用上有利になり、ドルが買われるという仕組みである。確かにそういった面があるのは事実だが、現実には、米国で資産を運用することだけが目的でドルが買われているわけではない。

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