「ゆらぐ」利上げ見通し、「ざわつく」金融市場 ~米ハイテク株復活のシナリオとネクストGAFA

2022年11月11日

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

----------------------------- 【目次】 1.「ざわつく」米金融市場 2.焦点はインフレ減速のタイミング 3.インフレ起点で考える米ハイテク株復活のシナリオ -----------------------------

はじまりは、またもWSJ

10月21日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)が、「11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今後の利上げ幅の減速が議論される」と報じたことをきっかけに、米国の金融市場がざわついています。これが単なる観測記事なら大した騒ぎとはならなかったのでしょうが、記事を書いた記者が今年6月のFOMC直前に「異例の大幅利上げ」のリーク記事を書いたニック・ティミラオス氏であったことから、市場は利上げペースの減速を織り込みいったんは大きくリスクオンへと傾くこととなりました。

1.「ざわつく」米金融市場

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米10年国債利回りとS&P500指数 (注)データは2021年12月31日~2022年11月9日。   S&P500は2021年12月31日を100として指数化。(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

■WSJによる観測記事をきっかけに「リスクオン」に傾いた米金融市場は、11月2日の金融政策決定会合後のパウエル議長による「タカ派発言」により、冷や水を浴びせかけられる結果となりました。FOMCの声明文ではWSJの観測記事の通り、今後の利上げペース鈍化の可能性が示唆されました。しかし、その後の会見でパウエル議長が、「利上げ停止の議論は時期尚早」「政策金利の最終的な水準は従来予想より高くなるかも」と発言したことで市場はリスクオフに転じ、米国債と米国株はそろって売りこまれる展開となりました。 ■利上げ見通しの「ゆらぎ」に市場が翻弄された格好ですが、今回のパウエル議長の「タカ派発言」は、ある意味バランスの取れた妥当な発言といえそうです。というのも、今回の利上げにより政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの上限は4%となり、前回会合後に公表されたFOMCメンバーが想定する利上げの最終的な落ち着きどころ(ターミナルレート、4.6%)との差は0.6%まで縮小することとなりました。このため、ターミナルレートの予想を引き上げないと今後の利上げ余地が限られてしまい、予想外のインフレ加速が起こった場合などに、柔軟な政策対応が難しくなる可能性が生じていたからです。 ■政策金利の見通しが「ゆらぐ」中、市場ではリスクオンの「トライ・アンド・エラー」が続いていますが、こうした動きを「投機的な先走り」と片付けてしまうのは早計かもしれません。なぜなら、長期金利は利上げのピークアウトに先んじて低下に転じ、株式市場も長期金利の低下に反応してバリュエーションが拡大して上昇する傾向があるからです。 ■1983年末以降、主な金利低下局面は6回ありましたが、米10年国債の「金利低下の転換点」はFFレートに対して平均で192営業日、約8.9ヵ月先行していることが確認できます。このため、長期金利の転換点をとらえてリスクオンに転じ、相場底入れ後の反発局面で高い投資リターンをあげるためには、経済の「変化の兆候」をいち早くとらえ、金融政策の転換にかなり先回りして株式や債券の買いポジションを積み上げる必要があるといえそうです。 ■今回のFOMCでは、またしても市場のリスクオンは仕切り直しとなりました。しかし、WSJのリーク報道の通りに米利上げペースの減速が議論される段階に入ったこと、米景気や企業業績の減速が鮮明になりつつあること、そして、欧州などでは米国の金融引き締めに追随することが難しくなってきていることなどから、米国市場では今後も経済指標をにらみつつ、再度リスクオンのタイミングをうかがう展開が続くこととなりそうです。

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