「ドル覇権の時代」は終焉を迎えるのか? 多様化が始まる決済通貨

2022年09月04日

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)  ロシアが中国からの輸入を急回復させている。  中国からの輸入は今年(2022年)3月から前年同月を下回り続けていたが、7月になって増加に転じた(前年比2割増)。品目別に見ると、輸入全体の2割を占める一般機械などが20%、1割弱を占める輸送機械が43%増加している。  ロシアから中国への輸出は資源エネルギーを中心に好調だったが、西側諸国の制裁の影響で中国からの資本財や日用品の輸入は大幅に減少していた。中国製品の輸入減が引き起こすインフレに悩まされてきたロシア経済にとっては朗報だが、7月に入ってなぜ中国からの輸入が増加に転じたのだろうか。 ■ 中国の輸出企業の人民元決済シフトが進む  ウクライナ危機後、ロシアから中国への輸出決済の相当部分は人民元に切り替わったが、ロシアへの輸出を手がける中国企業は、従来の商慣習(大部分がドル決済)を理由に人民元決済への切り替えを渋っていた。このため、西側諸国の制裁が障害となってロシアへの輸出が減少していた。ところが、最近になって中国の輸出企業の決済が人民元にシフトできる環境が整ったことがプラスに作用した。  その際、重要な役割を果たしたのが、中国政府が2015年から稼働させている人民元の国際銀行間決済システム「CIPS」だ。CIPSには今年6月時点で1341の銀行が参加しており、日本のメガバンクやドイツ銀行、JPモルガン・チェースなど欧米の主要銀行が名を連ねている。

 このCIPSに「SWIFT」(銀行間の国際的な決済ネットワークである国際銀行間通信協会)から排除されたロシアの銀行が大挙して接続したことで、中国の輸出企業の人民元決済シフトが進み、中国からロシアへの輸出が急速に回復したというわけだ。  7月中旬時点でロシアの銀行は23行がCIPSに接続しており、国営ガスプロム傘下のガスプロムバンクも接続準備を進めている。  SWIFTが調べた中国大陸以外での人民元決済の比率は、ロシアでは4月に0.6%だったが、7月に3.9%と急上昇した。地域別のランキングでも、香港(71%)、英国(6%)に次ぐ第3位となっている。 ■ 存在感を高める人民元の今後  ロシアでは人民元建て資産の運用も盛んになっている。  モスクワ取引所は8月上旬、中国人民元建て債券の取引を開始した。最初に取引された人民元建て債券は、2027年を満期とするロシアのアルミ大手ルサールが発行する2つの社債である。それぞれ20億元(2億9622万ドル)規模だった社債のすべてを、ロシア国内の投資家が購入した。

© 2009 Dr. straightのヘルスケア&リラクゼーションのブログ。 by https://www.stosakaclinic.com/
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう