「ラーメン1杯2800円」、米国バブルは日本バブルのデジャヴだ
いつか見た光景
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TBS NEWS DIGで「アメリカではラーメン1杯2800円!? 記録的な円安・物価高でアメリカ在住の日本人が苦境に...現地の価格を徹底調査」と報道されるなど、日本と比較した米国での物価高が話題になっている。 【写真】米中間選挙に異変...民主党岩盤支持の「黒人層」に、徐々に広がる共和党シフト 元々、9月の米消費者物価指数が前年同月比+8.2%と高水準にある上に、年初には110円台であったドル円相場が、日本銀行の介入があったにもかかわらず現在150円近辺である。 日米の価格差はある意味当然ともいえる。 だが、実は日本のバブル期には、この状況が真逆であったのである。 当時海外からやってきた金融関係者たちは、それなりの高給取りであったはずだが、日本の「バブル価格」に恐れをなしていた。例えば、宿泊しているホテルのレストランの料金が(彼らにとって)「目の玉が飛び出るほど高い」ため、「近くに手ごろなレストランは無いか」とよく聞かれたものだ。 だが、バブル期の日本人はその価格を当然だと思っていた。
給与が高くても暮らしにくいのが米国
また、5年前の2017年12月11日のBUSINESS INSIDERの記事ですでに、「仕事をしていてもホームレス ―― シリコンバレーの"ワーキングホームレス"の厳しい実情」と異常に高騰する生活費問題が取り上げられている。最近でも10月28日、日本経済新聞「シリコンバレー、ホームレス増加の裏事情」との報道がある。 また、ムーバーズドットコムによれば、シティセンターの1ベッドルーム フラット(アパート)の家賃は2200ドル以上、150円換算では33万円以上になる。また、前記日本経済新聞の記事では、2022年8月のサンフランシスコ周辺の一戸建て住宅価格の中央値は110万ドル(約1億6500万円)である。 日本人の給与がバブル崩壊以降上がっていないと指摘する非難めいた記事をしばしば見かけるが、その同時期にデフレで物価も下がっているのである。 例えば(当時の最安値で言えば)マクドナルドのハンバーガーが1個59円、吉野家の牛丼が一杯280円、さらには多くの雑貨を100円ショップで買うことができた。 だから、表面的な給与が上がっていなくても、日本人の暮らしぶりは決して悪くなかったのである。 だが、現在のところ海外から遅れてはいるが、日本の物価上昇がスピードアップしていることは読者も大いに感じるところであろう。 しかも、大きな問題は、日銀がいまだに「超金融緩和」を続けていることである。2月26日公開「強烈インフレを目の前にして黒田日銀は日本をトルコにするつもりか」で述べたように、インフレの状況において「金融緩和」を行うことは禁じ手である。さらにインフレを加速させることになるからだ。 その結果、1月31日公開「今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない」という事態から日本も逃れられなくなる。 特に、ここのところ顕著になっているが、最初はやせ我慢している企業も、他社が値上げに踏み切れば一斉に値上げに走る。日本企業は横並びだから、値上げが始まると怒涛のような「ビッグウェーブ」になるということだ。 日本でラーメン1杯2800円時代がやって來るのは、それほど遠い先のことではないかもしれない。