「円安」のメリット&デメリットをわかりやすく解説!輸出増加&海外資産の値上がりというメリットがある一方、物価高騰&ローン金利上昇というデメリットも
「円安」になると日本経済や生活にはどんな影響が出るのか? 「円安」のメリット&デメリットを解説! 【詳細画像または表】 ●円安・円高の基本を改めて復習しておこう! 立場によって、円安はメリットにもデメリットにもなる! 昨今、円安に関するネガティブな報道が多いが「円安はそんなにダメなこと? 」「つい最近まで日本は円高に苦しみ、円安を望んでいたのでは? 」などと感じている人もいるのではないだろうか。 そこで、ここからは、意外と知っているようで知らない、円安・円高の基本を復習しておこう。 外国為替に絶対的な基準価格はないが、仮に「1ドルを買うのに100円必要な状態」を基準にすると、1ドル=75円(2011年10月の水準)なら「円高」、1ドル=139円(2022年7月の水準)なら「円安」だ。 円の金額が小さいほど円高、逆に大きいほど円安なので、最初は違和感を覚えるかもしれない。だが、100g=1ドルの輸入肉を買う際、円高なら75円ですむが、円安だと139円も払う必要がある、と考えるとわかりやすい。 要するに、円高とは世界経済の中で円の価値が高くなること。逆に、円安とは世界経済の中で円の価値が低下すること。輸入品を買う場合で考えると、円安はデメリットだ。 ただし、米国株などの海外資産を保有する日本の投資家の立場になると、状況は変わってくる。1株=1ドルの米国のA社株を保有していた場合、株価が1ドルのままでも、円換算したときに円高だと75円に、円安だと139円の価値になる。よって、この場合は円安がメリットとなるわけだ。 ●円安で利上げされたら、住宅ローン破綻などが増えるリスクも...... 輸出株や海外資産を買えば、円安のプラス面を取り込める! もう少し掘り下げて、円安のプラス面とマイナス面を見ていこう。 まずはマイナス面から。日本は食料や資材、エネルギーを輸入に依存しているので、円安になると、食品やガソリン代、電気料金を皮切りに、あらゆるモノやサービスの値段が上がる。よって、円安は国民の生活レベルを低下させることに直結している。 さらに懸念されるのは、この状況下での金利の引き上げだ。通常、通貨安の局面になると金利が引き上げられることが多い。仮に利上げが実現すると、国の膨大な借金の利払いが急増するなど、超低金利で救われていた日本の財政が、一段と悪化するのは間違いないだろう。そうなると、社会保障のレベルが縮小する可能性がある。さらには、住宅ローン金利も上昇して、変動金利でローンを組んでいた場合は返済額が増加し、住宅ローン破綻が急増するかもしれない。 こうした不安に対策するためにも、早めに家計やローンの見直しなどで「守り」を固めておくべきだろう。 一方のプラス面は、輸出企業や、前述のように海外へ投資している投資家などが利益を得られるところだ。輸出企業の場合、例えば1万ドルで売れる自動車は、1ドル=75円の円高局面だと75万円の売上だが、1ドル=139円の円安局面だと139万円の売上になる。あるいは、1ドル=139円なら価格を7500ドルに値下げしても104万円の売上になるので、価格競争力が高まる。 こうして業績が向上した輸出企業が賃金を引き上げたり、雇用を増やしたり、海外投資によって利益を拡大させたりすれば、日本全体の景気がよくなるかもしれない。 ただ、恩恵を受けるのは輸出企業に勤めている人や、海外の株などに投資している投資家に限られてくる。いきなり転職は難しいかもしれないが、輸出企業の株や、海外の株に投資する投資信託などの「円安に強い資産」に注目することは、誰にでもできる。「攻め」の投資で円安のメリットを享受すれば、値上げによる家計のダメージもカバーできるはずだ。