「円高への揺り戻し」はこの後どこまで進むのか? 世界の市場を見て出た「一つの答え」
ドル円に変化が...!
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足元の外国為替市場で、円安・ドル高の流れに少しずつ変化が出始めている。 ここへ来て、米国FRBの金利引き上げのペースが減速するとの観測が出始めていることもあり、主要通貨に対するドル独歩高の勢いが弱まっている。 【写真】125万人が忘れている「申請しないともらえない年金」をご存知ですか ドル/円の為替レートの推移を見ても、10月21日の151円95銭まで急速にドル高・円安が進んだ後、ドルの上値は徐々に重くなっている。 大手投資家のヘッジファンドも、徐々にドル買い(ロング)のポジション(持ち高)を減らしているようだ。 それに伴い、12月上旬、1ドル=133円台まで円は買い戻された。 今後、これまでの円安傾向の修正が進むことが想定される。 12月の連邦準備制度理事会(FRB)は、追加利上げ幅を0.75%から0.50%に縮小するとみられる。 一方、わが国では、日本銀行がイールド・カーブ・コントロール(YCC)をはじめとする、異次元の金融緩和の修正を検討するとの観測が出始めている。 それによって、日米の金利差が縮小することも考えられる。 それは、ドル高・円安の勢いを弱めることになる。 また、欧州中央銀行(ECB)なども金融の引き上げに動くだろう。 それが現実味を帯びてくると、ドル独歩高のトレンドは徐々に修正されるはずだ。 ただ、わが国の貿易赤字の継続などで急激にドル/円が円高方向に振れる展開は想定しづらく、少しずつドル高・円安が修正されることになるとみる。
外国為替市場でのドル高の流れに変化
つい最近まで、外国為替市場ではドル高・円安が鮮明だった。 しかし、足許では、不安定な動きを伴いながらも、ドルの上値が重くなり始めた。 要因の一つとして、外国為替市場に大きな影響を与えるヘッジファンドの投資行動が変化している。 全米先物取引委員会(CFTC)が公表するシカゴマーカンタイル取引所(CME)の国際通貨市場(IMM)の先物ポジションの推移をみると、10月下旬以降、円のネットショートのポジションが削減された。 それは、米国の金利が思ったようなペースで上昇しないかもしれないと考える投資家が増えたことを示す。 6月以降、FRBは0.75ポイントの大幅な利上げを4回にわたって実施した。 昨年11月末までFRBは"物価上昇は一時的"という誤った見方を続けた。 インフレ鎮静化の遅れを挽回するために、FRBは過去に例を見ない急速なペースで金融引き締めを実施した。 一方、わが国では日本銀行が異次元緩和を継続した。 特に、8月下旬のジャクソンホール会合ではFRBのパウエル議長がインフレ鎮静化に集中する見解を示した。 対照的に、黒田日銀総裁は異次元緩和を続ける考えを改めて示した。 日米の金利差が急速に拡大するとの観測が急増し、10月後半までヘッジファンドはドル買い・円売りのオペレーションを増やした。 その結果、一時は150円を超えるまで円安が急伸した。 そのあたりから米国の金融市場ではFRBが金融引き締めペースを緩めるとの観測が出始めた。 米金利の上昇圧力は弱まり、ドル買い・円売りの反動が起きた。 11月末までヘッジファンドなどは円のネットショートポジションを縮小した。 英ポンドや豪ドルに関しても対ドルでのショートポジションは圧縮された。 こうしてドル高傾向は弱まりつつある。