「宇宙強国」目指す中国、宇宙基地が秋にも完成 実験施設のドッキング成功
2022年07月30日
【北京・坂本信博】中国は24日午後、海南省文昌の発射場から宇宙実験施設「問天」を大型ロケットで打ち上げ、独自に建設中の宇宙ステーション「天宮」の基幹施設「天和」とのドッキングに25日に成功した。国営通信新華社が報じた。中国は習近平体制の異例の3期目続投が決まる今秋の共産党大会に向け、習氏が掲げる「宇宙強国」化を加速。年内に天宮を完成させて国威発揚を図る。
問天は全長17・9メートル、最大直径4・2メートル、重さ23トンで、中国がこれまでに打ち上げた宇宙船や施設で最も大きく重い。動植物や微生物の無重力空間での発育など主に生命科学分野の実験室、宇宙飛行士の居住設備や船外活動設備がある。
天宮は米国に対抗する宇宙強国政策の柱。昨年4月に天和を打ち上げ、今年6月には宇宙飛行士3人を有人宇宙船「神舟14号」で送り込んで建設作業を続けてきた。10月には、もう一つの実験施設「夢天」を打ち上げて連結させ、丁字形の宇宙ステーションが完成する予定。23年から本格運用して15年間は活用するという。同じ軌道を飛行する宇宙望遠鏡「巡天」の打ち上げも目指す。
日米欧やロシアなどが共同運営する国際宇宙ステーション(ISS)は2024年までの運用継続が決定済みだが、ウクライナ危機に伴う米欧ロの対立激化で先行きは不透明。中国は独自の宇宙ステーションを軍民両分野で活用するとみられており、宇宙空間での存在感を着実に増している。