「富の爆発的な増加」で世界の超富裕層がますます肥大化している
世界中で「超富裕層」に属する個人の数は2021年、前年から4万6000人増え、記録史上で最高の21万8200人になった。コロナ禍からの回復期で「富の爆発的な増加」があり、世界の最も富める者たちがその恩恵を受けているのだ。
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5000万ドル超(70億円超)の資産を持つ超富裕層に当たる個人の数が2021年に激増したのは、超金持ちたちが住宅価格の高騰や株式市場の好況で富を得たからだと、スイスの大手投資銀行「クレディ・スイス」の「グローバル・ウェルス・レポート」はまとめている。
超富裕層に入る人の数は、過去2年間で50%以上も増えている。世界の成人人口の0.00004%しかいない超金持ちの富が莫大に増えた一方で、何十億人という低・中所得者層は、コロナ禍で貯蓄を使い果たした人も多く、食料やエネルギー価格の高騰に苦しめられている。
世界で最も裕福な人々の富の管理を手伝うクレディ・スイスのレポートは、次のように述べる。
「金融資産が激増した結果、2021年は不平等が増大した。この不平等の増大はおそらく、新型コロナウイルスのパンデミックのあいだ金融資産の価値が急上昇したせいだ」
「低金利の状況でマクロ経済の活動が回復したことで、2021年は個人資産の成長にとって例外的に有利な条件が生まれた」
「われわれの概算によれば、世界の家計保有資産は2021年末の時点で総額463兆6000億ドル(6京6000兆円超)で、前年の同時期から9.8%、41兆4000億ドル(6000兆円弱)増えた。成人1人当たりの資産は前年から8.4%、6800ドル(100万円弱)増えて8万7489ドル(約1260万円)に達したが、これは21世紀が明けた時点で記録されたレベルのほぼ3倍だ」
このレポートの執筆者で経済学者のアンソニー・ショロックスは、「富の爆発的な増加が2021年にはあった......おそらく記録を始めて以来で最も増えた年ではないか」と言う。
富の増加は公平に分配されていない。世界人口の1%しかいない富裕層が、世界の全財産に占めるその分け前を2年連続で増やし、2020年の44%から2021年は46%を占めるまでになったのだ。