「年末消費の回復」が起爆剤に…12月の香港・中国株見通し 12/6(火
本記事は、東洋証券株式会社の中国株コラムから転載したものです。
香港市場の11月動向と12月の見通し
11月を振り返る...月前半は大きく上昇、後半は弱含み 米利上げ鈍化の思惑から米ドル安・人民元高の進行、中国当局の新型コロナ対策の一部緩和、首脳会談を受けた米中の緊張緩和や不動産業界への支援策などを背景に、香港市場は月初から買戻しの動きが強まった。 ハンセン指数は15日に18,000ptを突破し、約2ヵ月ぶりの高値を付け、月初来上昇率は25%に達した。月後半は、利益確定売りや新型コロナの感染拡大などが重しとなり、弱含みで推移した。 個別銘柄では、万科企業(02202)など不動産株の上昇が目立った一方、宝飾品小売の周大福珠宝集団(01929)は決算発表後の失望売りで急落した。 12月の見通し...ボラティリティの高い展開か ■ハンセン指数の12月予想レンジ...16,000~20,000pt 12月の香港市場は、ボラティリティの高い展開になりそうだ。 中国の新型コロナ感染拡大は相場の重荷になるが、米利上げペースの鈍化観測や中国政府への政策期待などが相場の支えとなろう。 市場には12月に住宅ローン金利の目安となる最優遇貸出金利(LPR)5年物の引き下げ観測があるもよう。不動産関連銘柄の値動きに注目したい。 月内に開催される中央経済工作会議は、23年の経済政策方針が決まるため、投資家の注目を集めている。 また、継続的な資金流入が見込まれるサウスバウンド(中国本土⇒香港)経由の中国マネーの動向も注視したい。 26~27日はクリスマスで休場となる。
中国市場の11月動向と12月の見通し
11月を振り返る...政策を好感、上海は2ヵ月ぶり高値 11月の中国市場で各指数は買い優勢の展開。上海総合指数は16日に約2ヵ月ぶり高値となる3,145ptまで上昇し、深セン成分指数も同日に11,385ptまで買われた。 ゼロコロナ政策の一部見直し(11日発表)や不動産業界の金融支援策(23日公表)への期待感が後押し材料となった。 25日には預金準備率の引き下げ(12/5から0.25%引き下げ)が発表されている。一方、新型コロナの感染急拡大による経済活動の停滞懸念が相場の重しとなった。 外資によるA株買越額は491億元(月初~11/25まで)と10月の573億元売り越しから一転し、買戻しの動きが進んだ。 12月の見通し...値固めが先決、どうなる年末消費 ■予想レンジ上海総合指数...2,900~3,300pt ■深セン成分指数...10,000~12,500pt 12月の中国市場で各指数は値固めから上値を目指す展開を予想する。 ゼロコロナ政策をめぐる中国各地での抗議デモや移動規制の強化などが相場の変数となろう。 年内開催予定の中央経済工作会議でデジタル経済の成長が再強調されれば、サイバーセキュリティ大手の啓明星辰信息技術集団(002439)などが物色されそう。 例年、年末や春節(旧正月、今回は23/1/22)前後は旅行関連が盛り上がるため、中国旅遊集団中免(601888)なども注目されそうだ。 もっとも、コロナの感染状況次第で消費全体が冷え込むリスクもあり、楽観視はできない。 龔 静傑 東洋証券香港現法亜洲有限公司 中国株アナリスト/香港ストラテジスト 山藤 秋男 東洋証券株式会社上海駐在員事務所 中国株アナリスト/ストラテジスト
龔 静傑,山藤 秋男