「新しい資本主義」に特別枠、4・4兆円規模 政府来年度予算の概算要求

2022年07月30日

政府は29日、各省庁が令和5年度予算を要求する際のルールとなる概算要求基準を閣議了解した。岸田文雄政権が掲げる「新しい資本主義」の関連施策などを優遇する重要政策推進枠を設け、4兆4千億円規模の要求を認める。防衛費や少子化対策、物価高対策などは要求額に上限を定めない。要求総額は社会保障費の増加もあり、9年連続で100兆円を超えそうだ。 【表でみる】「新しい資本主義」「骨太の方針」案のポイント 首相は29日の政府与党政策懇談会で「5年度予算編成で、国が直面する内外の重要課題への取り組みを本格化する」と強調した。 概算要求基準では、各省庁が使い道を決められる「裁量的経費」を4年度当初予算(14・9兆円)から1割削減する代わりに、重要政策推進枠として削減額の3倍までを要求できる仕組みとした。人件費などの「義務的経費」を削減した場合も、削減額に応じ重要政策への上乗せを認める。 岸田氏は6月に決定した新しい資本主義実行計画で「人への投資」「科学技術」「新興企業」「脱炭素・デジタル化」の4分野を重点投資分野とした。重要政策推進枠は、この4分野や経済安全保障などを中心に予算が割り振られる。 また、政府は今年の経済財政運営の指針「骨太の方針」で、防衛費の5年以内の抜本強化や少子化対策の充実を掲げた。これらの要求や新型コロナウイルス対策、物価高対策は「予算編成過程で検討」するとし、概算要求時に金額を示さない「事項要求」を認めた。 高齢化などに伴う社会保障費の自然増は5600億円を見込む。各省庁は基準に基づき、8月末までに財務省へ予算要求を行う。

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