「黒田ショック」で住宅ローン金利はどうなる?悲劇は起きないと予測する理由
2022年12月23日
2022年12月20日、日銀の黒田東彦総裁は長期金利の上限引き上げを発表。市場は一時、1ドル=131円台まで急激な円高に向かいました。住宅ローンが心配な人も多いでしょう。しかし私は、23年の住宅ローン金利が大幅に上がる可能性は低いと予測しています。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博) ● "黒田ショック"で市場は急激な円高へ 一時は1ドル=131円台に 2022年12月20日、日銀の黒田東彦総裁が長期金利の上限をこれまでの0.25%から0.50%へと引き上げると発表し、市場に衝撃が走りました。 会見では黒田総裁は「利上げではない」と強調したものの、市場では金融緩和政策の事実上の見直しではないかという観測が広がり、日経平均は一時800円安、為替レートは1ドル=137円台から131円台へと急激な円高に向かいました。 簡単に言うと、12年12月の安倍政権誕生に始まり、ちょうど10年続いたアベノミクスによる異次元緩和がいよいよ終わるのではないかと市場がとらえたのです。ゼロ金利が終わることで世の中に出回るお金が少なくなり、企業業績も悪くなることが想像できるため株安が起きたわけです。 そうなると、もうひとつ心配なのが住宅ローンです。異次元緩和が終わると住宅ローン金利も上がることが予想されますから、マイホームを買って間もない人は気が気でないかもしれません。
- 住宅ローン加入者の8割以上が 変動金利を選択している そもそも日本人は住宅ローンについて変動金利を選ぶ人が多く、全体の約7割、21年に実施された調査では8割の人が変動金利の住宅ローンを選択しています。変動金利のほうがそもそも固定金利よりも金利は低く、かつ、黒田総裁の方針が変わらない限りその低い金利が続くと考えられたことから、皆が変動金利を選んだというわけです。 昨今の大都市圏でのマンション価格高騰で、そもそも低金利でも住宅ローンの支払いがきつい家計が多い中、その支払い額がこれから増えるようなことがあれば打撃も大きいため、そのような人たちは不安を感じているかもしれません。 実は私もまだ10年以上、住宅ローンが残っています。私は日本人としては少数派の「あえて固定金利を選んだ側」のひとりなのですが、実はその固定金利も10年ごとに見直しが入ります。ですから、今後金利が上がれば最後の10年間のローンの支払い額は大幅に増加するでしょう。つまり、固定金利の人でもまったく安心というわけではないのです。
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