「2023年経済大復活!」のかけ声のウラですすむ「世界不動産大暴落」の危険な予兆と「3つの楽観論」のヤバすぎる正体
楽観論がひろがる「危ない兆候」
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このところ、世界経済に対する楽観論が広がりつつある。 米シテイグループは1月18日、今年の世界経済が景気後退に陥る可能性を50%から30%に引き下げた。 【写真】「ペイペイの毒」に潰されたキャッシュレス企業...その残酷すぎる末路 ハードランデイングの可能性も低下しているという。 本当にそうだろうか。世界は過去20年間にもっとも苛烈な「金融引き締め」を行っている。このネガティブな影響が「ない」とはどうしても考えにくい。 世界規模の金融引き締めはいま未知の領域に足を踏み入れており、かつてないほどリスクが高まっている可能性がある。 「楽観論」のウラにひそむ危険な兆候を検証してみよう。
天気だのみの「楽観論の正体」
会談するフランス・マクロン大統領とドイツ・ショルツ首相 欧州経済のセンチメントは改善している Photo/gettyimages
いま、楽観論が広がっている第一の要因は、欧州の記録的な暖冬だ。天然ガス価格の下落で高インフレが抑制されることで欧州の景気後退への懸念が和らいでいる。 欧州の天然ガス価格は昨年末から今年初めにかけて急落した。 指標となるオランダTTFの先物価格は16日、1メガワット時当たり54ユーロ台と昨年11月末の141ユーロから半値以下となった。ピーク時(昨年8月)に340ユーロ強となっていた天然ガス価格は、ロシアのウクライナ侵攻前の水準となっている。 最初に景気後退入りすると危ぶまれていた欧州の状況が好転したことで、世界経済のセンチメントが改善した。 「欧州が今年、景気後退入りすることはない」との声まで出ているが、この予測が当たるかどうかは「寒さ」次第だ。 欧州の暖冬は偏西風の蛇行によりアフリカの暖かい空気が流れ込んでいたことが原因だった。だが、その偏西風が南下し、北極圏から冷たい空気が流れ込んできており、天然ガス価格は再び上昇に転じている。 今後、猛烈な寒波が襲来すれば、事態は一変することは明らかだ。 天然ガス価格の高騰による高インフレが生じ、景気も一気に冷え込んでしまうだろう。 さらに後編記事『いよいよ不動産バブルに「危険な予兆」があらわれた! 金利"急"上昇のウラで世界ではじまる「大暴落」のヤバすぎる正体』では、世界にひろがる「楽観論」とそのウラですすむ世界規模の「不動産バブル」とそれにともなう「深刻な経済リスク」の正体を詳しくお伝えする。
藤 和彦(経済産業研究所コンサルティングフェロー)