【政治】 岸田政権が打ち出した「1億総株主」構想 愚かすぎる国に経済成長などあり得ない 株価の起爆剤として戦争に期待する人も現れてくる
岸田政権が打ち出した「1億総株主」構想 愚かすぎる国に経済成長などあり得ない
公開日:2022/06/08 06:00 更新日:2022/06/08 06:00
ここまでくだらない与太を言い出すとは、さすがに考えてもみなかった。岸田文雄政権の「1億総株主」構想のことである。
7日にも閣議決定される。岸田氏自らがロンドンで、「貯蓄から投資へのシフトを大胆に進める」と胸を張ったのが先月5日。
そこに自民党が1億ウンヌンの謳い文句を冠し、たちまち「骨太の方針」に盛り込まれたという流れ。
政府はNISA(少額投資非課税制度)の拡充など、仕掛けづくりを急ぐという。
呆れたのは、これが岸田政権の看板「新しい資本主義」の、そのまた目玉とされた「所得倍増」を掲げている点だ。
総裁選で連発された「分配」の理念など影も形もなく、下々のカネを、富める者と巨大資本にシフトさせたい本音があからさま。
新しくも何ともない、ただ単に資本主義の最も卑劣な部分の拡大再生産でしかありはしない。
あえて言う。株に手を出して無事で済むのは大金持ちだけだ。億以下の資金しかない客を「ゴミ」と呼び、
手数料稼ぎの金ヅル扱いする証券マンや、それで破滅した人々を私は嫌というほど見た。
学生時代からの友人は、あの山一証券で誠実な営業に努めていたが、ノルマを強要する上司に逆らえず客に大損をさせ、
「あんただけは信じてたのに」と泣かれて嗚咽した。40代だった彼の命は過重なストレスに奪われた。
バブルが崩壊した頃、大手証券がこぞって暴力団に、暴落した株の「損失補填」をしていた事実を忘れまい。
原資は下々から巻き上げた手数料だ。
この4月には民法改正で成年年齢が18歳に引き下げられた。そこに「1億総株主」の国策だ。
"未成年者たち"が餌食にされるケースが相次ぐ可能性は無限に広がった。
台湾危機をあおりまくる岸田政権は軍拡と日米同盟の深化に躍起である。
自民党が求める軍事費の倍増には莫大な財源が必要で、まず赤字国債の乱発、社会保障のさらなる削減、
消費税のより一層の大増税──と相成るシナリオの存在が確実だ。
愚かすぎる国には経済成長もあり得ない。
今の私たちができることは、政府の口車に乗ることだけは避けながら、あらがい、
いつの日か来るかもしれない一筋の光明を待ち続けることぐらいか。
甘言に乗った自称投資家たちの中には、株価の起爆剤としての戦争に期待する人も現れてくるのだろう。
それもまた政権の狙いだろうが、まあ、やめておいたほうがいい。
まともな人間にとって、戦争とは破滅以外の何物でもないから。
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