【日本株週間展望】一進一退、米利上げ鈍化の期待買いと高値警戒売り
(ブルームバーグ): 11月4週(21ー25日)の日本株は一進一退の展開となる見込み。景気を冷やす米利上げのペースが鈍化するとの期待が根強い一方、高値圏にある相場を警戒した売りも出やすい。主要企業の決算発表が一巡して新たな手掛かり材料は乏しく、短期目線の投資家による売り買いが交錯しやすくなりそうだ。
米国では23日に、4会合連続で0.75ポイント利上げを決めた11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表される。週前半の株式市場は、ターミナルレート(金利の最終到達点)を巡る内容などを確認したいと様子見ムードが広がりやすい。
米セントルイス連銀のブラード総裁は17日、インフレを鈍化させるため金融当局は政策金利を「最低」でも5ー5.25%に引き上げるべきだと述べた。投資家の間では、来月に0.5ポイント利上げし、来年は政策金利は5%前後でピークを付けるとの予想が多い。
TOPIXは11日に約2カ月ぶりの高値を付けた後に上値がやや重くなっている。11月3週は週間で0.5%安と4週ぶりに反落した。
23日公表の10月の新築住宅販売件数は改善する見通し。ブルームバーグが集計したエコノミスト予想の中央値は前月比4.6%減。ローン金利上昇に伴い需要が落ち込んでいるが、9月(10.9%減)から減少率は縮まる。同日公表の10月の耐久財受注は前月比0.4%増と9月と同じ伸び率を保つ見込みだ。
25日は米感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」で、年末商戦が本格化する。インフレが鈍化する中で景気は底堅いとの見方が強まれば、株式相場を下支えする可能性がある。国内は23日が祝日(勤労感謝の日)で休場。24日は10月の全国百貨店売上高が発表される。
《市場関係者の見方》
アセットマネジメントOneの中野貴比呂ストラテジスト
明確な相場の方向感は出づらく、値動きの不安定な週になりそうだ。株式相場は米利上げペース鈍化期待で上昇してきたが、政策金利の到達点などで市場コンセンサスはまだ固まっていない。米国株がもう一段上に行くのか、スピード調整となるのか、どちらもありえる。FOMC議事要旨では決定的な方向感は出てこないだろう。今後の物価指標と金融当局者発言、景気指標の3点の見極めには時間が必要で、いまは我慢の期間。米利上げが進む中で日本株が上値を積極的に追える局面ではない。