【金融庁が警告】こんな投資信託に注意!
2021年11月、金融庁はこう発表しました。
「この商品は、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品であり、投資経験が少ない個人投資家の方が中・長期の資産形成を目的として投資をする場合には十分な注意が必要です」
この注意喚起が何を指しているか、分かりますか?
それは...
「レバナス」です。
これは、「レバレッジ」と
「NASDAQ100(ナスダック)」の略称。
米国の「NASDAQ100」という指数に対して、
2倍の値動きになることを目指して運用されるレバレッジ型の投資信託です。
例えば、通常の投資信託の場合、
指数と同程度の動きを目指しますよね。
NASDAQ100指数が10%上がれば、
投資信託も約10%上がる傾向にあるわけです。
一方で、レバナスはどうか?
指数の2倍の動きを目指しますから、
NASDAQ100指数が10%上がれば、
投資信託は20%値上がりする傾向にあるのです。
つまり、100万円を投資していれば、
120万円になるということ。
そう考えると、
短期間で大きなリターンが狙えそうですよね?
実際、レバナスと通常の投資信託の
パフォーマンスを比較してみると、その差は歴然。
2001年から20年間、
毎月3万円ずつ積立投資をしていた場合、
元本は次のようになります。
大きな差があることが見て取れますよね。
このように、レバナスは、
大きなリターンを狙っていける商品なのです。
では、なぜ金融庁はこの投資信託に注意を促したのでしょうか?
それは...
多くの投資初心者が、
リスクを把握しないまま間違った使い方をしていたから。
レバナスは2つの点において、
長期投資に向いた商品ではありません。
それにも関わらず、多くの投資初心者が、
長期投資を前提にレバナスに手を出してしまったのです。
金融庁はその様子を見て、
危機感を覚え、注意喚起を行ったのでしょう。
では、具体的にどこが問題なのかと言うと...
①相場が落ちた時の下落幅が大きいから
先ほどお話しした通り、
レバナスは上昇相場において、
大きなリターンが期待できます。
しかし、今日のような下落相場においては、
より大きく下落してしまうリスクがあるのです。
実際、ある運用会社が出しているレバナスは、
およそ1年で60%近く下落しています。
もし100万円を投資していたら、
40万円に減ってしまったということ。
一方で、通常のインデックス型投資信託ならどうか?
下落はしているものの、
その下落率は20%程度。
レバナスと比較すると、
安定していることが見て取れますよね。
このようにレバナスは、
大きく儲かる可能性もあれば、
大きく損をしてしまう可能性もある。
そんな高リスクの商品なのです。
②手数料が高いから
さらに、レバナスは高い手数料がかかります。
例えば、とあるレバナスの信託報酬(手数料)は、年率0.99%。
一方で、通常のナスダック連動型の投資信託の場合、
信託報酬は、年率0.495%。
レバナスのおよそ2分の1。
つまり100万円を投資した場合、
レバナスは年間約1万円の手数料がかかるのに対し、
通常の投資信託は年間で約5,000円ということです。
運用期間が長くなれば長くなるほど、
コストはかさんでいきますから、
この差は大きいですよね。
このように、レバナスは、
- リスクが高く、下落幅が大きい
- 手数料が高い
という2つの点において、
長期投資には向いていない商品だと言われています。
もちろん、ここでお伝えしたいのは、
「レバナスに投資するな!」という話ではありません。
ですが、金融庁が注意喚起をしたように、
リスクや仕組みを理解しないまま、
手を出すのは危険かもしれません。
大切なのは、投資対象をしっかりと理解することです。
その商品はどのような仕組みなのか?
どんな企業に投資をしているのか?
どんなリスクが存在するのか?
これらを理解し、
自分の資産形成の目標や現状と
照らし合わせて、判断をしていく必要があります。
例えば、これから資産形成を始めようというタイミングで、
レバナスのような短期投資に挑戦するのは得策ではありません。
なぜなら、取り返しのつかない
大きな損失を抱えてしまうリスクがあるからですね。
私たちは資産形成ピラミッドを推奨しておりますが...
このように、まずは長期投資に適した銘柄で資産の基盤を作り、
それから始めて短期投資に移行していくことが大切です。
レバナスは、「積極的な投資」にあたります。
ですから、投資の知識と資産の土台を築いた上で
挑戦してみることが得策でしょう。
さて、
- 投資対象をしっかりと理解すること
- 資産の基盤を作った上で挑戦すること
2023年は、ぜひこの2点を意識して、
投資をされてみてください。
良い投資を!