【2023年のFX予想】米ドル/円は120~140円程度のレンジか。先週の日銀はサプライズだったが、今後は一方的な動きになりにくい。正月クラッシュはあり得る?

2022年12月27日

布石はあった日銀サプライズ
大橋ひろこ:
先週(12月19日~)の日銀金融政策決定会合はサプライズでしたね。のんびりランチしている場合ではありませんでした。
西原宏一:
米ドル/円は7円の急落です。黒田総裁のサプライズ好きが出ましたね。
YCC(イールドカーブコントロール)をいじるのではとの意見は一貫してありましたが、このタイミングで変更するとは誰も予想していなかったですね。
大橋ひろこ:
政府・日銀の政策協定見直し報道や、日銀の国債保有比率が50%超えて流動性が枯渇していたことなど、布石はありましたから、警戒すべきでした。
西原宏一:
とはいえ、日銀会合の前日(12月19日)、松野官房長官が政策協定の改訂を否定したことも油断を高めました。あれは予想できなくても仕方ないでしょう。
正月クラッシュ、「越年レート」と中国PMIに注目
大橋ひろこ:
今日(12月26日)は、主要国が休場で動いているのが日本だけ。
米ドル/円のスプレッドも広がったままですね。
西原宏一:
銀行時代、今日のような東京市場しか開いていない日はカバーがしづらく、顧客からのオーダーを見るのが嫌でしたね。
明日(12月27日)も英連邦の国々はお休みですから、為替市場の流動性が戻ってくるのは12月28日(水)になるでしょう。
年末の動きは、翌年の動きを先取りすることもあるため、12月28日(水)から12月30日(金)かけての値動きには注目しています。
大橋ひろこ:
2023年の為替市場は1月2日(月)から。
この日も流動性は薄く、2019年のようなフラッシュクラッシュへの警戒感も高まりますね。
西原宏一:
フラッシュクラッシュのような仕掛けが起きるのは、ストップのオーダーがたまっているとき。
日銀サプライズで130.58円までのストップはついています。
131円台前半より下で年越しするようだと、130.50円以下のストップを狙いにいく仕掛けがあるかもしれません。
大橋ひろこ:
大みそか(12月31日)には、中国のPMIが発表されます。
これが悪い数字になると、新年早々株が売られ、円高となるリスクがありそう。
日経平均は、アベノミクスが始まる直前の安値から引いた、上向きのトレンドライン付近にあります。ここでサポートされるか、下抜けるか、注目です。
株式市場のスタートは1月4日(水)からです。
「FEDピボット」と日銀マイナス金利解除
大橋ひろこ:
2022年最後の更新となりますが、来年はどう予想しますか? 
西原宏一:
テーマは米インフレの沈静化、そして米金利でしょう。
米2年債利回りは4.8%をピークに低下していますが、下も堅い。
景気指標の悪化で株価が調整すれば、市場は「FEDピボット(利下げへの政策転換)」を期待しますが、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長はインフレ重視。
市場が期待するほど、ピボットは早くないのでは。
大橋ひろこ:
インフレに直結する原油市場ですが、WTI原油の70ドル割れは、米国もOPECプラス(※)も嫌がります。
先週のコラムで話したとおり、米国がSPR(戦略石油備蓄)の買い戻しを前倒しで決めたのも、その一環でしょう。
来年も70ドルが安値メドになるでしょうし、60ドル台はあっても50ドル台は考えにくい。
上値は中国次第かもしれません。コロナ禍が収まり、工業生産が再稼働してくれば100ドル台もありえます。そうなるとインフレは収まりにくくなりますね。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
西原宏一:
インフレがそこまで下がらず、ピボットがやはり遠い、ということになれば、米金利も下がりにくいですね。
日本の貿易赤字も米ドル/円を下支えしますが、一方では日銀が動き、円が買われやすい地合いとなっています。
米ドル/円は120~140円程度のレンジか
大橋ひろこ:
日銀の「本丸」はマイナス金利の解除ですね。マイナス金利をゼロにすれば、インパクトはさらに大きい。
西原宏一:
先週の日銀はサプライズでしたが、今後はオプションでヘッジする動きも出てくるでしょう。
そうなると、一方的な動きとはなりにくい。
米ドル/円は下が120円、上は145円程度ではないでしょうか。
大橋ひろこ:
チャート的に見ると、日銀サプライズでの安値130.58円は、8月安値と同水準です。
ここで反発すると、米ドル/円は151.95円を頭とするヘッド&ショルダーとなる可能性も考えられます。
ヘッド&ショルダーからのターゲットは110円台となりますが、さすがに全戻しも考えにくいですから、下値メドはやはり120円くらいかもしれませんね。
西原宏一:
ユーロ/米ドルもチャート的には上がりそうに見えます。
米ドル高は米ドル/円の151.95円、ユーロ/米ドルの0.9536ドルでピークだったのでしょう。
米ドル安進行ならゴールドに注目
大橋ひろこ:
米ドル安が進むなら、ゴールドが上がりやすくなりますね。
今年は米金利高・米ドル高の向かい風でも、ゴールドは意外と下がらず、高値圏でホバリングしました。
これで米ドル安の追い風が吹けば、するすると上がっていくかもしれません。
ただ、それは金融要因だけの話なので、穀物やエネルギーはそれぞれの需給要因次第とも言えます。
西原宏一:
2022年は間違いなく「為替の年」でしたし、米ドル/円が主役でした。
来年もそうなってほしいですが、2年連続で主役になるとは考えにくい。
どの通貨ペアが主役となっても、メルマガを通じて皆さんにいち早くお伝えしたいと思います。
大橋ひろこ:
今年1年、ありがとうございました。
(構成/ミドルマン・高城泰)


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