ここへきて「仮想通貨」「株」が大ピンチに…投資家も目を逸らす「ヤバすぎる危機」
金融緩和という「固定観念」
〔PHOTO〕iStock
米国連邦準備理事会(FRB)の数課に亘る金利引き上げにも拘らず、消費者物価指数は前年対比で8%を超える水準にとどまっている。 【写真】ビットコイン「大暴落」で、仮想通貨は「もう死ぬ」...! FRBは、さらに金利引き上げなどを続けることになる。 ある意味では、FRBはかなり追い込まれた状況になっている。 今年に入って、FRBは既にゼロ近辺だった金利を2%以上まで引き上げ、これまで供給してきた市中の資金も吸い上げ始めている。 それにも拘らず、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)後は、ビットコインや米国の一部の株式などは上昇した。 その背景には、主要投資家の間でこれまでの金融緩和期の記憶が一種のアンカー(固定観念)として残っていたのだろう。 主要投資家にとって、その固定観念は強い。 景気後退懸念が高まればFRBは経済と金融市場に配慮するという思い込みに浸る投資家は多い。 一方、9月以降FRBは、市中のお金を吸い上げて量的引き締めを本格化し、追加利上げを続けるとみられる。 それによって、市中に流れるお金の量は徐々に縮小することになるはずだ。 これまで、"金余り"に支えられてきた一部の株式や、ビットコインなどの価格は不安定化する可能性が高いと見とくべきだ。
「低金利が続く」と信じた人たち
1990年代の初頭以降、世界経済はグローバル化した。 自由貿易の促進、中国の工業化などによって国境を超えたヒト、モノ、カネの再配分が加速した。 韓国や台湾ではデジタル家電や半導体の受託製造を行う企業が急成長を遂げ、国際分業体制が強化された。 米国ではアップルなどが生産設備を自前で整備する負担から解放され、ソフトウェア開発に集中して取り組むことによって事業運営の効率性が高まった。 グローバルにサプライチェーンが張り巡らされ、企業は需要変化に即座に対応し、供給を行う体制を整備した。 それが、経済成長と低物価環境の同時進行を支えた。 ITバブルや住宅バブルの膨張局面を除き、FRBは失業率の上昇などに配慮して金融緩和を進め、経済と金融市場の安定を目指しやすくなった。 1980年から89年末まで、米国の政策金利の平均値10.3%だった。 1990年から99年末までは5.4%、2009年までの10年間では3.0%と政策金利水準は切り下がった。 その結果、低金利環境が続くと信じる投資家が増えた。 米国など先進国では国債から十分な利得を得られなくなり、ジャンク級社債、成長期待の高いIT関連の株式に投資資金が流入した。 その状況下、2013年にキプロスショックが発生するとビットコインが注目を集めた。 民間企業などが発行する仮想通貨には価値を一定に保つ仕組みがない。 ビットコインの価値は不安定であり、どうしても投機の対象になりやすい。 それでも、世界の低金利環境が続くとの楽観が投資家のリスクテイクを支えた。 買うから上がる、上がるから買うという強気心理が連鎖し、ビットコインや株価の上昇は鮮明化した。 コロナショックによって株価などが下げた2020年3月中旬以降もFRBによるドル資金供給や積極的な金融緩和が楽観論の回復を支え、仮想通貨や株式の価格は高騰した。 グローバル化が低金利環境を支えるという主要投資家の思い込みは強いと考えられる。