アジア市場は米雇用統計発表を前に静観。ハンセン指数は4日ぶりに反落
香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。
ハンセン指数 18,675.35 pt (▲0.33%) 中国本土株指数 6,368.74 pt (▲0.25%) レッドチップ指数 3,539.74 pt (▲1.52%) 売買代金1,427億8百万HK$(前日1,985億6万HK$)
米雇用統計発表を控えて動意薄
パウエルFRB議長の発言を受けて、金融市場では、FRBのハト派スタンスを好感したリスクオンへのバイアスが強まるかと思われた。しかし、11月の米雇用統計の発表を控えて、経済データを見極めたい意向も強く、値動きは限られた。 インフレ動向の手掛かりを探るなかで、堅調さを維持してきた雇用市場にも、減速が見られるかどうかが注目される。 前月に発表された非農業部門雇用者数は2020年12月以降で最も低い伸びに留まった。11月はさらなる鈍化が予想されるが、それでもパンデミック前の水準と比較すればなお強い可能性が高い。 1日、バーFRB副議長は、12月から利上げペースを減速させる可能性があるとの認識を示したが、金利は長期間にわたり高止まりする必要があるとも述べた。 前日のパウエル議長発言を踏襲しており、両者の発言は、早期利下げ転換は想定していないと示している点でも、一致している。インフレの先行き不透明な環境下では、道のりは長いと考えられる。 金利先物市場は政策金利が5%前後に到達した後、来年第2四半期中に利上げが停止され、その後は、早いうちに利下げが開始されると織り込み始めている。しかし、この想定における時期尚早な雰囲気は強い。まだまだ、相場の波乱は続くのではとみるのが大筋であろう。
中国人民銀行易綱(い・こう)総裁は緩和維持を表明
市場は中国本土の防疫政策の方向性を探るなか、近いうちに中国の新型コロナウイルス防疫政策の転換が行われるのではとの観測が高まっている。 当局は例年12月初めに中央政治局会議を開催し、来年3月の全国人民代表大会に向けて議論が行い、経済成長目標を含むさまざまな政策目標が検討している。閉会後の1週間以内に開催される中央経済工作会議では政策の具体化に移る。その際に、経済成長に重点を置いて、一段と緩和的なアプローチが示唆される可能性が高い。 中国人民銀行の易綱総裁は2日、景気回復と雇用創出を促すために、金融政策の緩和姿勢を維持すると言及した。 また、2023年の中国消費者物価の上昇率は、緩やかになり、経済成長路線への回帰に成功する見通しであることをアピールした。2022年は、新型コロナウイルスの感染拡大と防疫措置・行動制限により大きく成長率を鈍化させた中国経済だが、ここから成長回復にシフトできるかが正念場である。