アングル:世界の国債市場が同一歩調、分散投資阻まれリスク増大

2022年10月12日

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 世界中の国債市場が現在、足並みをそろえて同じ方向に動いており、ポートフォリオは投資分散の余地が狭まっている。市場が荒れた場合、投資家は足元をすくわれかねない。 MSCIのデータを見ると、米国、日本、英国、ドイツなどの国債は、為替レート調整後の相場相関が少なくとも7年ぶりの強さとなっている。世界中の中央銀行がインフレ阻止のために金融引き締めを積極化しているからだ。 この結果、ある国の国債を保有するポートフォリオが、別の国債市場の動きによって打撃を被る可能性が高まっている。最近では先月末、英政府が大型減税案を発表して英国債利回りが急上昇したのにつれて米国債利回りも跳ね上がるという事例があった。その後、イングランド銀行(英中銀)が市場を安定させるために英国債を購入すると米国債利回りも急低下した。 MSCIのポートフォリオマネジメント調査責任者、アンディー・スパークス氏は「世界中の中銀が共通の敵と闘い、おおむね同じ道具を使っている。この結果、債券市場間の相関が非常に高まっている」と述べた。 「市場間の相互依存関係がこれほど大きくなると、波及効果が高まるリスクがある。今年は1つの市場の痛みが瞬時に別の市場に伝達している」とスパークス氏は懸念を示した。 国債市場はしばしば最も安全な投資先とされるが、今年はこの「同一歩調」が相場下落に追い打ちをかけている。 世界中の中銀が利上げを行ったのに伴い、米国債などの国債は今年、株価と共に急落した。米国債市場では、流動性の低さも顕在化して相場波乱に拍車がかかり、一部の投資家は様子見を決め込むことになった。 国債同士が同じ動きをすることで、世界各地へのリスク分散も困難になっている。今年は株と債券が共に下落したため、株式に60%、債券に40%投資する伝統的なポートフォリオなど、多くの分散投資戦略の成績がただでさえ振るわない。 PGIMフィクスト・インカムのグレゴリー・ピーターズ共同最高投資責任者は「世界中の債券市場の相関が非常に高いため、米国以外の債券に投資する意義が大幅に薄れた」と指摘。各国中銀の金融政策が大幅に乖離するまで、この相関が弱まることはないとみて、米国以外の国債への投資を減らしたという。 大半の中銀が同じ方向に進んでいるだけに、ある国の中銀がインフレ退治の手綱を緩めるという思惑が生じると、他中銀もいずれ追随するのではないかとの期待が広がって世界中の国債市場が大きく振れることがある。 例えば先週は、オーストラリア準備銀行(中銀)の利上げ幅が予想より小さかったのをきっかけに、米10年物国債の利回りが急低下する場面があった。一部の投資家が、米連邦準備理事会(FRB)も最終的に利上げペースを緩めるとの見方に自信を深めたからだ。 しかしその後、FRB幹部からインフレ退治に専念する旨の発言が相次ぎ、9月の米雇用統計も強い数字だったことから、積極利上げ継続の観測が強まって米国債価格と株価は下落に転じた。 ダブルライン・グローバル・ボンド・ストラテジー・ファンドのポートフォリオマネジャー、ビル・キャンベル氏は「これまでは常に、米国が金融政策を他国に輸出すると言われてきたが、現在目にし始めているのは、諸外国がもっとグローバルな規模で自国の政策を輸出できるようになっている実態だ」と語った。 もっとも、国ごとの金融政策の開きが間もなく顕在化するとみる投資家もいる。米国ほど金融引き締めへの耐性を持たない、比較的規模の小さい国々などが、その発火点になりそうだという。 ハートフォード・ワールド・ボンド・ファンドのポートフォリオマネジャー、マーティン・ハービー氏は、金融政策の乖離は来年始まると予想。オーストラリア、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデンなどの市場に買い場が訪れると期待している。 「これらの国々では金利上昇が頭打ちになる可能性がある。来年に入って利上げの悪影響が鮮明になれば、素早く方向転換するかもしれない」とハは語った。 (Davide Barbuscia記者)

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