アングル:中国経済の全面再開、企業に「手遅れ」になる可能性

2022年11月22日

[上海 22日 ロイター] - 中国の幾つかの都市で料理を味わうツアーの企画運営会社ロスト・プレートを経営するブライアン・バーゲイさんと妻のルイシ・フーさんは、新型コロナウイルスの感染防止のための厳格な規制が行われてきた3年間、ずっと歯を食いしばって事業を続けてきた。 しかし中国経済がいよいよ来年から再び世界に門戸を開くかもしれないとの期待で金融市場が盛り上がっている中、夫妻は2015年から中国に置いていた会社の拠点を東南アジアに移す準備を進めている。バーゲイさんは「いわゆる中国の全面的な経済活動再開について、私はなおかなり悲観的に考えている」と話す。 主要国で唯一、まだ新型コロナウイルスを通常の風土病として扱っていない中国は今月、厳しい感染対策を緩める20項目の措置を発表。これを受けて中国の株式、債券は買い一色となり、人民元は上昇、つられてアジアから欧州、中南米まで幅広い資産が値上がりした。 もし本当に来年、中国と世界がつながりを取り戻せば、中国経済は数十年ぶりの急激な減速から立ち直り、それに伴って世界経済も景気後退(リセッション)に陥る事態を免れるかもしれない。 だが市場の熱狂と裏腹に、中国経済の実態は非常に暗たんとしている。 対面サービスを中心とする多くの企業は、そもそも来年まで生き残れないのではないかと戦々恐々の状態にある。政府は依然としてこれまでで最大規模の感染拡大と悪戦苦闘中だし、厳格な規制で生活をかき乱され、すっかり萎縮した消費者は財布のひもを固く結んだままだ。 上海でカフェやバー、イベント会社などを所有する米国人起業家カムデン・ハウゲさんは、今年に入って2カ月も家に閉じ込められ、生活必需品を手に入れることさえできかったというつらい経験をした2500万人の市民は、今後規制がどうなろうとも、混雑した繁華街を出歩くのをずっと避け続ける、と予想。人々が以前の生活に戻ることはないと断言した。 <新ルール巡り広がる混乱> 中国の今年の成長率は3%前後と、政府が目標とする約5.5%に届かない見通し。 これまでに発表された10月の経済指標は、既に低調だった予想をさらに下回っている。輸出は落ち込み、物価は下振れた上に、銀行の新規融資は急減。不動産市場は一段と冷え込み、小売売上高は上海でロックダウンが実施された4-5月以降で初めて減少した。 また新規感染は拡大が続いており、中国経済が近く上向きに転じる公算は乏しい。 JPモルガンが今月推計したところでは、新規感染者が10人以上の都市が抱える人口総数は7億8000万人で国内総生産(GDP)の62.2%に達し、9月末から約3倍に跳ね上がった。 一方中国全土でのワクチンの1回目接種や追加接種の比率は引き続き低めで、特に重症化しやすい高齢者層でその傾向があるため、当局は国民の準備が整う前に規制を緩めることには慎重になっている。 その結果、新たな感染対策ルールは国内で一律に実行されていない。幾つかの都市では当局が規制を緩めた一方、別の地域では逆に厳しくなった。地方政府によっては、わざわざ当局がルール修正は感染防止態勢を弱めるという意味ではないと説明し、住民を安心させなければならないケースもある。 こうした「お上」からのメッセージが統一されないため、不安に駆られた家庭の中には自衛策を講じる動きも出てきている。ソーシャルメディアに寄せられた親たちの投稿を見ると、子どもが感染するのを懸念して歯痛や中耳炎などを口実にして学校に行かせないようにしているもようだ。 エコノミストは、これらの家庭は当然しばらく外食や買い物には出かけないだろう、と警鐘を鳴らす。 ガベカル・ドラゴノミクスのアナリストチームは、新型コロナウイルスの封じ込めを「最適化」するための新たな措置は、各地方政府が独自の解釈を加えていることで、一般市民の間に混乱を生み出していると指摘。これは経済の不透明感につながり、短期的に消費と不動産取引をさらに抑制しそうだと付け加えた。 根本的には、当局が消費者の利益を優先する政策を実施していない点に問題がある。 例えば中国の交通データを挙げると、第3・四半期の貨物輸送量は陸運、鉄道、水運の合計でコロナ禍前の2019年第3・四半期とほぼ同じ水準になった。ところが陸海空の交通機関の旅客輸送量は19年の半分か3分の1にとどまっており、産業の物流に比べて人々の生活の面ではるかに混乱が大きい様子が読み取れる。 これは対面サービス事業にとって望ましい兆候とは言えない。 今年に入るまで「アジアのベストバー」リスト入りを続けていた上海のユニオン・トレーディング・カンパニーは、ロックダウンなどの影響で年初以降の営業日数がわずか50日にとどまっている。経営者のヤオ・ルーさんは「今年学んだのは、将来に対するどんな計画があっても全く意味がないということ。われわれは常に、何とかその日を生き延びようとしているだけだ」と話した。 (Casey Hall記者、Sophie Yu記者)

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