ゼロ金利でじゃぶじゃぶ状態なのに…「日銀の異次元緩和」でも日本の景気がずっと悪い根本原因

2022年08月19日
欧米の中央銀行は歴史的なインフレに対応するべく、相次いで利上げに踏み切った。一方、日本は「ゼロ金利」という異次元緩和を維持している。日本の金融政策はこのままでいいのか。ジャーナリストの池上彰氏に増田ユリヤ氏が聞いた――。(連載第8回) 【写真】2013年5月17日、経済政策「アベノミクス」の成長戦略第2弾を発表する安倍晋三首相(当時) ■「日銀の国債保有残高が50%超え」は何が問題なのか  【池上】日銀の国債保有残高が50%を超えたことが報じられていました。ブルームバーグなどは〈「ルビコン川」超えに近づく〉〈日銀が踏み入れようとしているのは未踏の領域〉としています。  「ルビコン川を渡る」とは「後には引き返せない決断をする」という意味ですね。なぜ日銀の国債保有残高が50%を超えることが、「ルビコン川を渡る」ことに等しいのでしょうか。  2012年末に安倍総理が「アベノミクス」を掲げました。日銀の黒田東彦総裁は、これを受けて「異次元の金融緩和」を行い、消費者物価を2年で2%上げるための「黒田バズーカ」を撃ちました。要するに、各民間銀行が持っている国債を日銀が大量に、これまでにない量を買い上げたんです。 ■金融緩和でお金が市場に行き渡るメカニズムをおさらい  【池上】これがなぜ金融緩和になるのか。銀行は顧客から預金を集め、それを企業などに貸し出すことで利益を出していますが、景気が悪くて銀行からお金を借りて新規事業に乗り出そうという企業がほとんどない。結果、銀行は貸出先がないので、銀行は国債を買い、国債の金利と、預金者に払う金利(利子)の差額を利益にしています。  【増田】預金者に払う金利よりも国債の金利のほうが高いので、その差額が銀行の利益になるんですね。  【池上】しかし市場にお金を行き渡らせるための金融緩和を行うためには、銀行のお金を一般の人たちに借りてもらいたい。そのためには金利をさらに引き下げなければならないのですが、そこで黒田総裁は日銀として、各銀行から国債を大量に買い上げた。  日銀が銀行から国債を買うと、購入代金が日銀から銀行に振り込まれますね。銀行がそこから預金を引き出した時に初めて、日銀券が発行されますから、銀行の持っている日銀券、つまりお金が増えて、安く貸し出せるようになった。 ■市場に資金がじゃぶじゃぶと出回っている状態  【池上】日銀はその後も銀行から国債を買い上げ続け、この割合が今回、5割を超えたというのです。他の中央銀行が経験したことのない状況に至っています。そのため、〈未踏の領域に達した〉と言われているんですね。  現在、銀行からお金を借りたい人にとっても低金利で借りられるいい時代ですが、国債を発行する国にとってもものすごく心地いい状態です。国債を買ってくれた人に支払う金利も低くて済むので、いわば「じゃぶじゃぶ(=市場に資金が多く出回っている)」状態になっていました。  【増田】こんな状態にして、わざとインフレにしようというわけですね。これまでデフレが続いていましたから。でも、このところロシアのウクライナ侵攻によってエネルギーや食糧の価格が高騰していて、インフレを起こすという日銀の目的が達成されそうですね。皮肉ですが。
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