チャールズなら「君主制廃止」もワンチャンある? イギリス共和主義者たちの高まる期待
女王エリザベス2世が亡くなったいま、君主制を廃止して共和制に切り替えるべきだとの議論がふたたびイギリス国内で盛り上がりを見せそうだ。英日曜紙「オブザーバー」が、共和主義者たちに聞いた。 【画像】エリザベス女王の葬儀に向けて着々と準備が進められるロンドン マシュー(仮名)にとって、女王の死はもろ刃の剣だ。 「それで君主制の終焉に向けて弾みがつくかもしれないという意味では、祝う理由がある。でも、いらだたしくもある。妻以外にはそれを言えないからね!」 女王エリザベス2世の死はイギリスが共和制に移行するのを進めたと主張するフェイスブックの投稿をいくつか下書きまでしたが、「投稿」ボタンをクリックするのはやめたとマシューは認める。 「いまは大勢がすごく感情的になっているみたいだし、荒しの一斉砲火を浴びたくないからね」 ほかの共和主義者も、自分たちが信じてもいないものを支持するよう脅されていると感じるという。 「意見を表明しようものなら、間違いなく不敬の烙印を押されるだろうと感じています。つまり、国全体の悲しみに合わせるよう仕向けられているのです」と言うのは、同じく偽名を希望したアイシャだ。 「君主制が時代遅れの概念で、われわれの民主的な権利を損ない、植民地主義を表すものだと信じる者として、女王の生涯のそういう面を称賛しないと決めたがゆえに、急に悪者になってしまいました。素晴らしいことをたくさんした一個人としての彼女と、女王としての彼女の線引きがあいまいにされていて、そこで人々は弁護的になるのです」
王室の未来をめぐる議論はどうなる?
だが、イギリスの共和主義者の見解を表明している諸団体は、いまは自らの信念を押し殺しているときでないと言う。中心的な共和主義の運動組織は、君主制廃止の訴えを活発に推し進めている。 「むろん人々は無礼を働かないよう注意しているでしょうが、これは議論される必要のある公職の話でもあるのです」と言うのは、「リパブリック」広報のグラハム・スミスだ。この団体は、君主に代えて選出された国家元首を置くことを推進している。 「人々が自分の考えを何でも言うのは、なお当然のことで、脅しに屈したと感じるべきではありません。でも、とくにソーシャルメディア上で検閲されたり、失言したりすることへの懸念がたくさんあります」 女王の死に関する報道番組ばかりが続くなか、この先はどっちつかずの感情が大勢の人にとって最大の反応になるだろうとスミスは予測する。 「いまはこうした番組への需要が多くありますが、やり過ぎだとか長過ぎだと人々が感じるようになる時点があるでしょう。ネットフリックスとかのストリーミングチャンネルに切り替える人がたくさんいるでしょう」 女王の葬儀の頃には露骨な共和主義や反君主制の感情が弱まるだろうが、ほどなくそうした感情がまた高まりを見せるだろうとスミスは見込んでいる。そのとき、イギリスは王室の未来をめぐる議論で、これまでと異なる時代に突入するだろうと多くの人は予想している。 スミスによれば、女王への敬服の念がおもに共和主義を抑制してきたが、この問題は再び息を吹き返すだろうという。 「女王は国民の大半にとって生涯で唯一の君主でした。チャールズはそのレベルの敬意を受け継がないでしょう。となれば、すべての力学がかなり変わります」