テクノロジー株不振が隠すS&P500種指数の実体-幅広い銘柄が上昇
(ブルームバーグ): 米S&P500種株価指数は依然テクニカルには弱気相場から抜け出せずにいるが、表面ではなくその中身をよく見ると大半の銘柄が大きく上昇していることが分かる。
S&P500種は2022年1月3日に付けた最高値を17%下回っているが、ブルームバーグがまとめたデータによれば構成銘柄の4分の3近くはそれぞれ52週安値から20%以上値上がりしている。米ホテル・カジノ運営会社、ウィン・リゾーツと航空機メーカーのボーイングはここ3カ月だけで6割余りの上げと、特に顕著だ。
ではなぜ、S&P500種はもっと上昇しないのか。同指数は時価総額加重平均の方法を採っていることから、時価総額が大きい一部テクノロジー関連銘柄の芳しくないパフォーマンスが色濃く反映される結果となる。過去1年間のS&P500種の下げの半分近くはアップル、アマゾン・ドット・コム、テスラ、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズというわずか5銘柄に起因する。
アップルとマイクロソフトを例に取ると、前者の時価総額は2兆ドル(約255兆円)を超え、両社を合わせるとS&P500種で11%以上のウエートとなる。これは両社の株価動向が、エネルギーと素材、公益事業カテゴリーの全ての企業以上に指数の動きを左右することを意味する。つまり、アメリカン航空グループが今年34%高となっても、同社のウエートは0.03%に過ぎず指数押し上げ効果はほとんどないのだ。
株式市場で何が起きているのかより幅広い視点で捉えるために、一部のプロたちは500銘柄全てを均等に加重した指数を注視している。同指数は昨年9月30日の安値から17%上昇しており、S&P500種指数に対するアウトパフォームは2019年以来最大規模に達している。ジャニー・モンゴメリー・スコットの調査ディレクター、ダン・ワントロブスキ氏は、均等加重する指数は全体の回復を巡り「さらに深い見方」が得られるため重要だと指摘する。