トランプVSデサンティス「MAGA」の奪い合いで共和党が分裂寸前、バイデン大統領が一気に有利に!
2024年米大統領選挙への出馬表明を早々と行ったドナルド・トランプ前大統領は、共和党内のライバルと目されている南部フロリダ州のロン・デサンティス知事をかなり意識した行動をとっています。デサンティス知事はまだ出馬表明をしていませんが、トランプ氏は同知事に対する攻撃を開始しました。 【写真】プーチンの核が狙う「日本の大都市」の名前 一方、民主党内では80歳のジョー・バイデン大統領が出馬するか否かに焦点が当たっています。以下で、中間選挙後の現状をみていきましょう。
トランプ前大統領の「最大のライバル」
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トランプ前大統領を支持するグループは、MAGA(Make America Great Again:米国を再び偉大に)と呼ばれています。MAGAには、トランプ派の連邦上下両院の議員や知事及び支持者等が含まれており、2021年1月6日に米連邦議会議事堂を襲撃したトランプ支持の暴徒もMAGAの一員です。 一方、デサンティス知事は11月の知事選でライバルの民主党候補に対して、約20ポイント差をつけて大勝しました。選挙期間中、デサンティス氏は東部ペンシルべニア州、西部アリゾナ州並びに中西部オハイオ州等を訪問して、トランプ前大統領が推薦したMAGA候補を応援しました。その狙いは、MAGAからの支持を勝ち取ることです。 トランプ前大統領が11月6日、フロリダ州で集会を開いた時、デサンティス知事は参加せずに自身の集会を開催しました。明らかに、デサンティス氏はトランプ氏と距離を置いています。 雑誌エコノミストと調査会社ユーゴヴの共同世論調査(2022年11月26~29日実施)によれば、2020年米大統領選挙でトランプ氏に投票した有権者の79%が、デサンティス知事に「好感が持てる」と回答しました。これはトランプ前大統領にとって不都合な数字です。仮にデサンティス知事が次期大統領選挙に出馬すると、MAGAの票を同知事に奪われる可能性が高まるからです。
「彼は忠誠心がない」
そこでトランプ前大統領は、デサンティス知事とMAGAを切り離すために、「彼ら(デサンティス支持グループ)は、我々(MAGA)を倒そうとしている」と支持者に訴えて、同知事に「反MAGA」のレッテルを貼る戦略に出ました。 そもそもデサンティス知事はMAGAです。2018年にフロリダ州知事選で苦戦を強いられていたデサンティス氏を応援して当選させたトランプ前大統領は、自分が彼を作ったと信じています。トランプ氏は「彼(デサンティス知事)は忠誠心がない」と主張し、同知事を悪者に仕立てて、MAGAの結束を図ろうとしています。 一方、デサンティス知事はトランプ前大統領と戦って共和党予備選挙を勝ち抜くためには、MAGAの票が必要です。もしデサンティ氏が出馬すれば、トランプ氏との間でMAGAの奪い合いが激化することは必至です。 バイデン大統領は、2024年米大統領選挙への出馬に関して、来年春に発表を行うと見られています。中間選挙の最中に、「私は2度トランプに勝てると思う」とホワイトハウスの記者団に語っており、出馬の意欲を示しています。記者団から年齢や健康について聞かれると、「私を見てくれ」と答えて自信を見せます。 地元の東部デラウェア州、首都ワシントンと隣接する南部バージニア州とメリーランド州を除くと、昨年バイデン大統領が最も多く訪問した州は、ペンシルべニア州の9回、次に中西部ミシガン州の5回でした。今年はペンシルべニア州を11回、ミシガン州を2回訪問しています。