フィリピン経済成長…目標達成確実も、世界的景気減速を懸念
一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏による、最新のフィリピンレポート。今週は、コロナ後のフィリピンの力強い経済回復と、それを支える通信インフラの動向についてレポートします。
2021年経済成長...政府目標達成の見通し
フィリピン中央銀行(BSP)のフェリペM.メダラ総裁は、フィリピン経済(GDP)は第2四半期に9%成長した可能性が高いと語りました。2022年通年のGDP成長率予測は7%で、政府の目標である6.5%から7.5%の中間点であるとも述べています。 フィリピンの経済活動は、国のほとんどの地域が行動制限を最低レベルにしたため、消費の伸びと資本支出の伸びが急速に拡大しています。 第1四半期の家計消費は前年同期比で10.1%増加し、前四半期の7.5%増を上回り、2021年第一四半期の4.8%のマイナスから反転しました。フィリピンの2022年第1四半期のGDP成長率は8.3%に達しています。資本支出は、2022年第一四半期に20%増加し、昨年の13.9%の減少から大きく反転しています。 一方、2023年のフィリピンの経済見通しは、世界経済が景気後退に入るかいなかに影響されるでしょう。 国際通貨基金(IMF)は先週、2022年と2023年の世界経済の成長予測を大幅に引き下げ、インフレの上昇とロシアとウクライナの戦争が世界経済を景気後退に追い込む可能性があることを指摘しました。世界のGDP成長は今年3.2%、2023年には2.9%と予想されています。 IMFは、フィリピンのGDP成長率予測を、今年は以前の6.5%から6.7%に引き上げましたが、2023年のGDP予測を以前の6.3%から5%に引き下げました。
イーロン・マスク創業「スペースX」...フィリピン進出
フィリピン政府は、政府の無料Wi-FiプログラムにElon Musk氏の衛星通信ネットワーク会社・Starlink(Musk氏の人口衛星打ち上げ会社SpaceXのグループ会社)を参加させることを検討しています。 Starlinkは2022年12月までに、フィリピンでの商用人口衛星打ち上げに取り組んでいます。消費者がインターネットの速度の遅さに長年不満を持っているフィリピンが、東南アジアでの同社の最初の事業となる見込みです。 Starlinkのサービスには初期費用として599ドル(パラボラアンテナ、ルーターなどのデバイスの一括払い)、月額99ドルのサービス料がかかり、平均的なフィリピンの家庭にとっては高額ですが、情報通信技術長官のIvan John Uy氏は、政府は州の無料インターネットプログラムの一環としてStarlink社のサービスを活用する可能性があると述べています。 Uy氏によると、既存の通信会社は事業採算性の問題から、離島などの遠隔地域に充分な投資ができていないとともに、これらの地域の人々には、Starlinkのサービスを利用する余裕がない可能性があるため、政府が介入する必要があり、無料のWi-Fiプログラムを展開するための予算を準備すると述べました。 情報通信技術庁は、地方自治体と協力して、どのように機器をセットアップし、接続をセットアップできるかについて調査しています。 フィリピン政府は2022年5月に米Starlink社の通信事業への参入を認可しました。これは、これは通信事業における外資規制を撤廃する昨今の法律改正によって可能になりました。