リセッションリスクに目を向けた米市場-S&P500種は週間で3.4%安
2022年12月10日
(ブルームバーグ): 米経済がリセッション(景気後退)に傾きつつあるとの鳴り止まない警鐘はウォール街にもとうとう響き渡った。
米2年債と10年債の逆イールドが約40年ぶりの大きさとなったり、原油相場が今年の上昇分を吐き出したりといった警報にも耳を貸さなかった投資家は、リスク資産に対する最大の脅威は迫り来る景気悪化であるかのように売買を始めている。
景気敏感株が主導する形でS&P500種株価指数は今週、3.4%下げた。米金融当局が利上げ幅を縮小するとの楽観的な見方で、10月半ばから14%上昇してきたが、米経済の先行き低迷を示唆するとの懸念から投資家のムードが暗転している。
積極的な金融引き締めによる景気への影響が表れつつある兆候もある。米サービスセクターは先月縮小。労働市場は堅調を保っているものの、失業保険の継続受給者がさらに増えるなど弱さも見られる。
米失業保険の継続受給者数、6万2000人増加-2月以来の高水準
一方、インフレがピークを打った可能性もあるが、なお高止まりしており、連邦準備制度が警戒姿勢を維持するには十分で、引き締めが行き過ぎるリスクも高まる。
アカデミー・セキュリティーズのマクロ戦略責任者、ピーター・チア氏は「これまで『悪いデータ』は『良い』と受け止められてきたが、今後は悪いデータは悪いと捉えられるだろう。米経済は大半が見込んでいたよりも速いペースで弱まり、かつ悪くなっているシグナルになるからだ」と述べた。
原題:Markets Wake Up to Recession Risks in Week Charts Break Down(抜粋)
--取材協力:Lu Wang (News).
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