世帯収入増加と「魚より肉」、20年の変化をもたらした意外な要因

2022年08月11日

(市岡 繁男:相場研究家)  インフレにより賃上げが大きな焦点になっています。「分配」を重視する岸田政権も賃上げには高い関心を持っています。では私たちの実際の「懐具合」はどう推移してきたのでしょうか。 【グラフ】女性の就業率とともに伸びた肉の消費額  総務省が発表する家計調査報告には、世帯の実収入額や消費支出額、非消費支出額(直接税+社会保険料)などが網羅されています。  今回、勤労者世帯の非消費支出額に、消費税負担額(消費支出額×税率)を加えたものを「修正非消費支出額」とし、実収入額に対する割合(修正可処分所得率)を計算してみました。つまり、所得税などの直接税に社会保険料、そして消費税を除いて、正味の消費に使える可処分所得の比率です。図1の折れ線がそれを示しています。 拡大画像表示  *本記事には5つの図表が含まれています。配信先のサイトで表示されない場合は、こちらでご覧ください。https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/71318  2001年に81%台だった同比率は、2007~2008年の国際金融危機、2011年の東日本大震災、2014年と2019年の2度にわたる消費税増税といった節目のたびに低下しました。直近は76%台と2001年からの21年間で5%ポイントも下落しています(図1)。  もっとも、2014年の消費税増税以降は横ばいで、悪化傾向に歯止めがかかったかのように見えます。

■ 世帯で見ると平均実収入は増えたが・・・  この比率の分子に影響を与える修正非消費支出額(直接税+社会保険料+消費税負担額)を見ると、2008年1月~2014年3月は約1.0万円の増加でしたが、2度にわたる消費増税後はさらに悪化し、現在は2008年1月比で4万1000円の負担増となっています(図2、グラフではマイナス表示)。 拡大画像表示  他方、分母にあたる実収入額は、2014年4月の増税前は5000円弱のマイナスでしたが、増税後はかえって収入が増えて2008年1月比7万9000円の大幅増となっています(図2)。図1で見たように修正可処分所得比率が下げ止まったのはこのためです。  では実収入が増えたからハッピーかと言えば、必ずしもそうとは言い切れません。  実収入が上がったのは、世帯内の働き手が2014年末の1.69人から直近は1.81人に増えたからです(図2)。その中心は女性で、世帯主の配偶者のうち女性の有業率はこの間に44%から57%に増加しているのです。

© 2009 Dr. straightのヘルスケア&リラクゼーションのブログ。 by https://www.stosakaclinic.com/
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう