中国“一帯一路”失敗だけではない、「バブル崩壊が間近」の理由

2022年10月19日
  • 中国政府の投資意欲が いつまでも旺盛な理由  今年4月、中国の河南省や安徽省にある村鎮銀行で預金が引き出せなくなる取り付け騒ぎが起こり、抗議デモが頻発した。このデモをきっかけに、他銀行への信用不安が全国に波及して、やがて地方大手銀行の取り付け騒ぎにまで発展した。  中央政府は預金者に対して50万元(約1030万円)を上限に肩代わりすることで収束をはかろうとしたが、事態を収めることはできなかった。  地方銀行の経営が苦境に立たされているのは、地方政府が過剰に投資をしてきたことが大きな原因になっている。地方政府は中央政府の掲げる経済成長目標を達成するために無理を重ねて投資を拡大させてきたが、ここに来てそのほころびがついに表面化し始めたのである。

 経済資料のデータベースを運用するCEICによると、中国のGDPに占める投資の割合は2021年で43%にものぼっている。割合の高さは、日本の25%、アメリカの22%と比べても歴然としているが、他の新興国と比べても(30%前後が多い)異常に高い。中国経済は投資を大きくすることで無理を重ねて成長しているのである。  では、中国ではなぜこれほど旺盛な投資が可能なのだろうか。  その原資となっているのが、中国人民の莫大な貯蓄である。上記のCEICによれば、中国の2021年の貯蓄率は44.5%だった。アメリカが約20%、世界的にも貯蓄率が高いことで知られている日本ですら約30%であることを考えあわせると、異常に高いと言わざるをえない。  中国政府が人民の生活向上ではなく経済成長を優先していることは、これらのデータからも明らかだ。社会福祉を後回しにして、投資による成長を積み重ねることでアメリカに追いつくことが、中国の経済政策の柱の一つとなっている。先に国力をつけ、経済成長の結果、人民が豊かになればいいという考え方に基づいている。  社会福祉を後回しにすることの弊害は明らかだ。中国にはまともな公的年金制度がなく、多くの人民が将来に不安を持っている。しかも、長年続いた一人っ子政策のために、老後に面倒をみてくれる子どもも当てにできなくなっている。  だが、その不安こそが中国の旺盛な投資の原資でもある。人民は不安だからこそ、貯蓄に励む。それを投資に回すことで中国は高成長を実現して、2010年にはデフレ経済で停滞する日本経済を抜き去って世界第2位の経済大国にのし上がり、アメリカ経済の成長を大きく上回るハイペースで成長を続けてきた。  だが、本来であれば中国のGDPで人民の家計の割合が大きくなるべきなのだが、中国政府は人民の生活を豊かにする努力を怠り、ひたすら投資による成長を追求する。家計の割合が高まれば消費拡大による経済成長が可能になるが、中国政府はその選択肢を考えてはいないようだ。

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