中国、元安懸念で景気減速でも利上げできず
2022年11月21日
【北京=三塚聖平】中国人民銀行(中央銀行)は21日、事実上の政策金利と位置付ける「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」の1年物を3・65%のまま据え置くと発表した。住宅ローン金利の基準となる5年物も4・30%のままで維持しており、据え置きは3カ月連続。中国経済は景気減速に直面しているものの、人民元安を警戒して利下げには慎重姿勢もにじませている。
1年物のLPRは金融機関の貸出金利の目安となっている。人民銀は8月に1年物を0・05%、5年物を0・15%引き下げた。3カ月連続の据え置きで、緩和効果を見極める意図があるとみられる。
中国経済を巡る厳しさは増している。中国各地では感染が急拡大しており、習近平(しゅうきんぺい)政権が掲げる「ゼロコロナ」政策の下で制限措置が強化されていることが重荷となっている。中国国家統計局が今月15日に発表した10月の主要経済統計では、消費動向を示す小売売上高が5カ月ぶりにマイナスに陥った。
不動産開発投資は1~10月の累計で8・8%減と悪化が続く。中国政府は、苦境が続く不動産市場に対する支援策を相次ぎ打ち出しているが、低迷からなかなか抜け出せずにいる。
中国の物価は比較的落ち着いており、人民銀がLPRを引き下げる余地はあると市場関係者は見ている。ただ、金融緩和を積極化させることによる人民元安・ドル高の急激な進行を警戒しているもようだ。