中国がドル建て資産の圧縮を進めている可能性も、米国債保有残高は7か月連続で減少
米財務省が8月15日に発表した6月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、海外投資家による米国債の保有高は7兆4308億ドルとなった。前月の7兆4257億ドルから増加した。
MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES
6月の米10年債利回りは、FRBによる大幅な利上げ観測から、13日に一時3.44%まで上昇した。しかし、ここで米10年債利回りの上昇はいったんピークアウトした格好となった。月末には3%近辺に低下した。
あらためて国別の米国債保有残高を確認すると、日本の米国債保有額は1兆2363億ドルとなり、前月比126億ドルの増加となり、引き続きトップとなっていた。
2位の中国は9678億ドルとなり、前月比で130億ドルの減少と7か月連続での減少となった。2010年5月の8437億ドル以来の低水準に。5月に12年ぶりに1兆ドル割れとなっていた。
米国の物価上とそれによるFRBの大幅利上げ観測などを背景に米10年債利回りが3%台に上昇したことで、売却を急いだ面もあったとみられる。ただし、5月に続いて、ロシアのウクライナ侵攻による米国のロシアへの制裁措置を踏まえ、中国がドル建て資産の圧縮を進めている可能性もある。
大きく増加した国は日本やルクセンブルグなど。大きく減少した国は中国、英国などとなっていた。
上位10か国の米国債保有額は下記の通り。
国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)
日本(Japan)、1236.3、+12.6
中国(China, Mainland)、 967.8、-13.0
英国(United Kingdom) 、615.4、-19.1
ルクセンブルク(Luxembourg) 306.8、+12.5
ケイマン諸島(Cayman Islands )、300.4、+5.9
スイス(Switzerland)、295.3、+4.2
アイルランド(Ireland) 、285.1 -3.6
ベルギー(Belgium )、273.6、+5.3
フランス(France)、236.9、-6.6
台湾(Taiwan)、233.9、+3.2
久保田博幸