中国の民主化潰しから始まった凋落、香港発の金融危機は世界経済を揺るがすか
世界的な景気悪化が懸念される中、中国の経済成長も減速しています。国際通貨基金(IMF)が10月28日に明らかにした見通しによると、中国の2022年の成長見通しは3.2%と、4月時点の予想から1.2%ポイントも低くなりました。世界経済の成長を牽引してきた中国経済はどうなるのでしょうか? その指標の一つとなってきた香港株の動向から考えてみます。 【写真】香港民主の女神とされた周庭氏は日本でも記者会見を開いた (市岡 繁男:相場研究家) ■ 香港株躍進の背景に中国のWTO加盟 香港株(ハンセン指数)と日経平均株価は2001年から2006年半ばまで似たような水準、似たような値動きで推移してきました。 しかしそれ以降、香港株は日経平均とは異なる勢いで伸びました。2006年半ばからリーマン・ショック前年(2007年)までの日経平均を突き放し、リーマン後の回復局面でも大きな差をつけたのです(図1)。 本記事には多数のグラフが出てきます。配信先のサイトで表示されない場合は以下をご確認ください(https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/72585) 香港株躍進の背景にあったのは、中国の世界貿易機構(WTO)加盟です。
■ 商業不動産の価格に経済発展の余録 中国は2001年末にWTOに加盟したことをきっかけに貿易額を急伸させました。中国について「世界の工場」と言われるようになり、飛躍的な発展を遂げたのです。 香港はその恩恵をフルに享受しました。片や香港ドル、片や日本円と通貨は違いますが、ハンセン指数の水準は日経平均を常に上回り、2018年1月には3万3000ポイントまで上昇しています。 株価以上に中国経済発展の余禄にあずかったのは商業不動産の価格でした。こちらは2003年1月から2018年11月にかけて7.3倍にもなっているのです(図2)。 しかしこうした勢いも、あるきっかけで失われます。 中国による香港の民主化潰しの動きです。