交易損失が過去最大、資源高と円安で所得の海外流出に拍車
2022年09月08日
(ブルームバーグ): ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源高と円安進行を背景に交易条件が悪化する中、所得の海外流出に拍車がかかっている。
内閣府が8日発表した2022年4-6月期の国内総生産(GDP)改定値によると、所得の海外流出を示す交易損失は年率換算で15兆4867億円と、比較可能な1994年以降で最大となった。
ウクライナ問題の長期化などを背景に資源や原材料価格は引き続き高水準で推移。米国など海外と日本との金融政策格差を背景とした円安進行も重なり、輸入物価の上昇で企業や家計の負担は増している。
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、交易損失への影響は資源高の方が円安要因よりもまだ大きいとみられるため、「資源価格上昇のピークアウトに伴い交易損失が減ってきてもおかしくはない」と分析。ただ、物価上昇の影響が大きい低所得者層には「輸入価格上昇による所得の目減りを埋め合わせる政策を打つ」必要があると語った。
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