今年の円相場予想トップのCBA、円下落の最悪期は過ぎたとの見方
(ブルームバーグ): 円下落の最悪期は過ぎたとの見方を、オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)の国際経済責任者、ジョセフ・カパーソ氏が示した。
同行は今年の円相場予想で最も正確な見通しを示している。カパーソ氏は、ドル・円が現水準からさらに大きく上昇する可能性は低いとして、米国のピーク金利見通しが既に4.5%付近に上昇していることを指摘した。
円について楽観的な同氏の見方はモルガン・スタンレーなどの同業他社と食い違う。ブルームバーグのデータによれば、1ドル=150円に向けての円安進行も見込まれている。
円相場にとって重要なのは、米連邦準備制度が高金利をそれほど長くは維持しない公算が大きいことだとカパーソ氏は分析。「来年末までには米当局は利下げに転じており、それによってドル・円は下落するだろう」と同氏は予想。「円は逃避先通貨であり、米当局が利下げをするということは世界経済に問題があるということだ」と指摘した。
CBAは年末のドル・円相場を1ドル=137円とする予想を6月から維持しているが、現在最新の予想を取りまとめる最終段階にあるという。
円は今年に入りドルに対して20%余り下落。金利差を背景に下げに歯止めがかからず、日本政府は1998年以来の円買い介入に踏み切った。世界的リセッション(景気後退)懸念もまだ、安全資産としての円の需要を喚起するに至っていない。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、カパーソ氏は今年、全ての四半期で円相場予想のトップを維持した。
同氏の予想が的中したわけではないが、他社に比べ正解に近かった。CBAは9月末のドル・円を136円と予想。6月時点の予想平均は129円だった。実際には9月30日に145円弱で終了。10月6日は144円70銭で取引されている。
「予想はかなり外れた。円相場が動いたスピードと大きさがよく分かる」とカパーソ氏は述べた。
原題:Yen's Top Forecaster Says Rout Over on Peak US Rate Hike Bets(抜粋)
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