個人のドル先高観が後退、1年半ぶり低水準-外為どっとコム総研調査
(ブルームバーグ): 日本の個人投資家の間でドルの先高観が急速に後退している。米インフレ指標の伸び鈍化を受けて、米国の利上げペースが減速するとの観測が強まったことが背景にある。ただ、絶対的な日米金利差に着目したドルの押し目買い意欲は依然として根強いという。
外為どっとコム総合研究所が11月18日から同22日に実施した調査では、今後1カ月間のドル・円相場の見通しでドル高・円安方向と答えた割合が40.0%と、前回10月調査の80.7%から大幅低下した。一方、ドル安・円高方向との回答は30.7%と前回の8.4%から急増。この結果、ドル・円予想DI(「ドル高・円安方向」ー「ドル安・円高方向」)は9.3%ポイントと2021年4月以来の低水準となった。
外為どっとコム総研の神田卓也調査部長は、「米消費者物価指数(CPI)後の調査で、タイミング的にもドル・円が1ドル=140円を割った後で、個人の見方もかなり大きく変わった」と指摘。「130円割れもという予想も出始めており、ドル高・円安見通しに傾き過ぎた修正が入っている」と説明する。
一方、外為どっとコムが公表している個人のドル・円のポジション比率は、ドル買い・円売りが7割と高止まりの状況が続いている。店頭取引と比べて長期保有のポジションが多いとされ、もともとドル売り・円買い比率が高い東京金融取引所運営のFX(外国為替証拠金取引)取引所「くりっく365」でも、ポジションの傾向に大きな変化は見られていない。
神田氏は「ドル・円の強気見通しは後退したが、決して弱気になっているわけではないので、ドルを売り持ちにしようということではない。どこまでドル・円が下がるのかを見極めて、下がったところでは買いたいという意向がまだ強い」と説明する。その上で、「152円手前の高値を年内抜けるのはかなり厳しくなったとみんな見ている」とし、「押し目買いの目線は以前よりはかなり低くなった」と指摘している。
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Hiroko Komiya