債務の額が3億2000万…元日銀総裁・高橋是清を「破産」に追い込んだ事件

2023年02月03日

日銀総裁の歴史

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 日本銀行の黒田東彦総裁の任期満了が4月8日と迫り、後任の人事に注目が集まっている。日銀総裁といえば、「金融政策のかじ取り役」であるだけに、堅物な人物が就くイメージがあるが、かつて破産も経験した総裁がいたことはご存知だろうか。第7代総裁の高橋是清だ。大蔵大臣、総理大臣を歴任し、二・二六事件で暗殺された大物政治家だが、その人生はまさに波乱万丈である。 【写真】5年後、10年後に「生き残る会社/消えている会社」を実名公開!  生後すぐに仙台藩の足軽の家に里子に出され、養子となった高橋は、14歳のときに藩命を受けて海外へ留学する。その際に、ホームステイ先の老夫婦に騙されて年季奉公の契約書にサインをしてしまい、奴隷として売られてしまうのだ。翌年、仙台藩の年長者に解放され、なんとか帰国できた。  幼少期から苦難続きの高橋の人生だが、その最たるものが破産にまで追い込まれたペルー銀山事件だ。高橋は帰国後、英語力を活かして初代特許局局長にまで出世する。そのとき、尊敬する省庁の先輩から「ペルーの銀鉱山」への出資を勧められる。高純度の銀鉱石を産出するため、成功すれば、大きな国益をもたらすという。この言葉に心を動かされた高橋は、36歳で特許局の仕事を投げうって、鉱山事業の出資代表者に就任する。これが悲劇の始まりだった。  高橋一行は船を乗り継ぎ、52日の長旅の末、ペルーに到着する。しかし、鉱山を調べてみると、すでに数百年の間に掘りつくされた廃坑だったのだ。日本人の鉱山技師を呼び問いただすが、実は実地調査はしていなかったと泣き出す始末。共同出資者を名乗るドイツ人にまんまと騙されたのだ。  会社解散により、高橋は1万6000円(現在の価値で3億2000万円ほど)の債務を背負い、大塚にあった1527坪の自宅を売り払って裏手にあった長屋に引っ越すことに。奥さんには「せめて別の町に」と言われたが、「引っ越し費用がかからなくていいじゃないか」と返したという。 大胆な金融政策で知られる高橋だが、その裏にはカネに苦労した過去があった。  「週刊現代」2023年2月4日号より

週刊現代(講談社)

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