円の「実力」51年前の水準に低下 欧米利上げで独歩安に拍車も

2022年09月08日

欧米の中央銀行がインフレ抑制のため政策金利を引き上げる、金融引き締めを積極化している中、日本銀行は主要中銀で唯一、大規模な金融緩和の世界に取り残されている。運用面の魅力を失った円は投機筋の標的となり、8日の円相場は一時、1ドル=144円半ばまで下落。円安が止まる材料は見当たらず、約51年前の水準まで落ち込んだ円の「実力」の低下に拍車がかかる恐れもある。 【グラフでみる】日本国民の平均年収推移 欧州中央銀行(ECB)は7月に11年ぶりに0・5%の利上げを実施したのに続き、8日開催する理事会でも大幅利上げを行う公算が大きい。 ただ、クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は「ウクライナ危機の戦線拡大懸念とエネルギー不足で、欧州は景気後退リスクが大きい」と指摘、ユーロは対ドルで下落傾向が続くとの見方を示す。 ただ、円はそのユーロに対しても売られる傾向にある。今週は6日にオーストラリア、7日にカナダの中銀も大幅利上げを決めた。ECBもこれに続くことで、金融緩和一直線の日銀の存在はより際立つ。 こうした中、内外の物価の格差を考慮した円の実力を示す「実質実効為替レート」は1971年8月以来、約51年ぶりの低水準まで落ち込む。当時は日本が1ドル=360円の固定相場制を脱却するきっかけとなったニクソン・ショックが起きた時期と重なる。円の対外的な競争力は既にそこまで沈んでいるわけだ。 ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「9月に入って円安が加速しており、実質実効為替レートはさらに低下する可能性がある」と話す。円の実力低下は輸出や訪日客需要の拡大につながる一方、足元では賃金上昇を伴わない形での物価高を招く一因となっている。 21日には米連邦準備制度理事会(FRB)が通常の3倍の幅の利上げに動くとの見方がある一方、翌22日には日銀が金融緩和の継続を決めることが濃厚だ。欧米中銀と日銀の金融政策の違いがより目立つのは避けられそうもない。(米沢文)

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