円ショートの前提3本柱崩れる-今年最も人気の為替取引輝き失う
2022年08月08日
(ブルームバーグ): 2022年のの一つは円の下落に賭ける取引だが、そのうまみは過去のものだと言うストラテジストが増加している。
日米金利差拡大と原油高、安全資産通貨としての位置付け喪失という円売り取引の3つの重要な柱は崩れつつある。リセッション(景気後退)入り懸念の高まりが利回りを抑制し、原油相場に重しとなり、投資家は伝統的な安全資産に再び戻りつつある。2020年3月から今年7月半ばまでに38%上昇したドル・円はここにきて後退している。
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)のストラテジスト、ロドリゴ・キャトリル氏は、「今年の大きな円売りは終わった」と述べ、「ドル・円のピークは過ぎた可能性が高い」との見方を示した。
キャトリル氏と同様にラボバンクや大和証券グループ本社なども、円の下落幅縮小を予想する。ブルームバーグがしたストラテジスト予想平均では、今年のG10通貨で最悪のパフォーマンスとなっている円は、2023年1-3月(第1四半期)までに1ドル=130円に上昇が見込まれている。円に弱気な見方がピークに達した7月半ば時点では、140円以上になるとの予想が相次ぎ示されていた。
円にとって史上最悪の下落になる恐れのある事態が終息すれば、輸入物価上昇がコロナ禍からの回復に重しとなっている日本の企業や消費者、政治家には歓迎されるだろう。ハト派スタンスを崩さない日本銀行の黒田東彦総裁の主張を支える一方で、人気の円ショート戦略を遅れて採用したヘッジファンドには圧力がかかりそうだ。
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(抜粋)
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