円売り投機はピークを過ぎたのか 無責任なエコノミストの為替予測、年末までに1ドル=200円近くまで下がるとの予想

2022年08月06日

【お金は知っている】 エコノミストたちの外国為替相場の「予測」ほど、無責任で人騒がせなものはない。今週初め、円ドル相場が1ドル=130円台まで付けた途端、潮のごとく引いたが、つい先週までは年末までには1ドル=200円近くまで下がるなどという「専門家」予想がネットに氾濫していた。 周辺からはそんな情報を突きつけられ、どう思うかと聞かれ、筆者はそのたびに「当たる当たらぬ易占いじゃあるまい。しょせんは市場の投機なんだから、いつ逆に円高に振れるかもしれないよ」と答えてきたが、相手は当然、納得しそうにない。 円安が止まらないとの前提に立つ有力エコノミストは「悪い円安」論を展開し、円安の元凶は日銀の異次元金融緩和政策にあると批判してきた。円安を止めるためには日銀が緩和を打ち切り、利上げすべきと提唱するわけである。 この考え方は、先の参院選での立憲民主党の主張にも影響を及ぼしたばかりではない。岸田文雄首相が任命し、日銀の政策委員会審議委員に就任した高田創氏も異次元緩和批判論者である。 だが、「悪い円安」論は不毛である。まず、「円安」だが、仮に150円であろうと、200円であろうと、その水準で安定すれば、「よい円安」になりうる。日本企業の国際競争力は高まるし、中国など海外よりも国内で生産したほうが有利なのだ。 企業収益、設備投資、雇用も増える。輸入コスト高がさらにかさむと円安悪者論者はのたまうが、この際、値上げすれば問題なしである。ただし、企業は製品価格アップに並行して賃上げすればよい。つまり、設備投資増―雇用増―値上げ―賃上げ―内需増という脱デフレの道が一挙に開ける。 さて気になるのは冒頭で触れた「為替投機」動向である。円売りは、高インフレ退治の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが続くが、それに対し日銀はマイナス金利政策を変えないとの「読み」に基づく。FRBは9月以降の大幅利上げには慎重のようだ。だから投機筋は慌てて円買いに転じたという。 だが、大口の資金をかき集めて投機を行う投資ファンドというものは、どの投資家も同じ手口を始める前にさっさと手じまいする。みんな同じ円売りとなると儲けられないし、大損をくらうリスクが高まるからだ。 では、円売り投機のピークは過ぎたのか。 グラフは、東京オフショア市場での邦銀の外国の金融機関向けの貸付残高と円ドル相場の推移である。オフショアとは「沖合」という意味だが、銀行の帳簿上だけ国外取引という扱いにして、手元の円資金を外国銀行などに貸し付ける。その資金はグローバルな外為取引の原資になる。この貸付残高が膨らめば円安となり、縮小すれば円高となることを示している。連動しなかったのは新型コロナウイルス・ショックの2020年5月時だけである。 データの最新は5月で前月を下回った。円相場も揺れた。さて、円売り投機のピークは過ぎたのかな? (産経新聞特別記者・田村秀男)

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