円安でも「円は安全通貨」世界が認める歴史的背景 アメリカドル・スイスフランに並ぶ納得の理由
「老後2000万円問題」「社会保障費の増大」「円安」「高校での金融教育の必修化」......不安にさせる経済トピックに欠かない今日この頃ですが、とはいえ、今まで経済について目を背けていた人にとっては「よくわからないだらけ」なのも事実でしょう。 ではまず最初に知るべき、経済トピックスとは? 経済キャスター・ラジオDJで、音声プラットフォーム・Voicyではフォロワー8.3万人の配信者でもあるDJ Nobbyさんの著書『実は大人も知らないことだらけ 経済がわかれば最強!』から一部抜粋・再構成してお届けします。 【グラフなど】日本人は「円安」がもたらした惨状をわかってない
■お金の価値って、どうやって決まるの? 金本位制の時代まで、お金には「金と交換できる」という価値がありました。でも、現在はそうではありません。よく考えてみると紙幣自体に大きな価値は無く、実際はただの紙。 それでも買い物ができるのは、そこに"信用"があるからです。そして、お金の価値は常に変動しています。かつてはゆるぎない「金」という共通の後ろ盾がありましたが、いまはそれがありません。では、お金の価値はどうやって決まるのでしょうか。世界の「基軸通貨」であるアメリカドルの変遷とともに、考えていきましょう。
第二次世界大戦後期の1944年、アメリカドルを基軸とした「ブレトン・ウッズ体制」が始まりました。これは、アメリカドルと各国の通貨をほぼ固定のレートで結びつけるという体制です。アメリカドルと各国通貨のレートを固定することにより、第二次世界大戦後の経済を発展させることを目的としていました。 アメリカドルが基軸通貨になるまでは、イギリスポンドが事実上の国際通貨として機能していました。当時のイギリスは海外に植民地を有しており、交易を積極的に行っていたことがその背景になっています。
また、金本位制によりポンドの裏付けとなる金が存在し、信用力が高かったことも後押ししました。しかし、植民地との活発な貿易によってイギリスの金が海外に流出し、結果的に国力を削がれることとなりました。 対してアメリカドルは、ブレトン・ウッズ体制の中で金本位制を採用しつつ、ドルと金の価値を固定しました。これによりドルを仲立ちとして外国通貨と金の価値が固定されるという2段構えの仕組みが作られ、実質的にアメリカドルが基軸通貨となる体制が整ったのです。