円安急加速、1ドル147円台に! 政府・日銀の再為替介入あるか? エコノミストの見方真っ二つだが、共通点は「やってもやらなくても効果ナシ」

2022年10月13日

一方、再び為替介入の公算が大きいとみるのは、三井住友DSアセットマネジメントのチーフマーケットストラテジスト市川雅浩氏だ。

市川氏はリポート「為替介入に関する日銀の金融市場調節と財務省からのメッセージ」(10月13日付)の中で、為替介入の実務を取り仕切る財務省の松本千城為替市場課長の発言に注目した。

松本千城為替市場課長は10月5日、立憲民主党会派財務金融部門会議に出席し、8月末時点の外貨準備180兆円台に対して今回の介入額は2.8兆円であると説明。「特段、介入資金に限界があるとは認識していない。日本の外貨準備は為替介入に備えて流動性に最大限配慮した運用を行っている」などと語った。

この発言を受けて、市川氏はこう指摘する。

「この発言と、9月末の外貨準備の残高変化は、為替介入が必要な場合は十分なドル資金を用意できる、という財務省からの強いメッセージと考えられます。そのため、この先も、為替相場が過度に変動し、財務省が為替レートの安定が必要と判断すれば、為替介入は相応の規模で直ちに実施される公算が大きいとみています」

しかし、市川氏はこう結んでいる。

「ただ、為替介入は相場のトレンド転換を目的とするものではないため、ドル高・円安の基調が明確に反転するには、(1)米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げ一服、(2)日銀の異次元緩和修正、といった材料(もしくはそのような思惑)が必要と思われます」

また為替介入をしても、一過性に終わる可能性が高いというわけだ。

日銀が政策を修正する以外、物価高を抑える方法はない?

円安加速に「手を打たない」日本銀行本店

ところで10月13日、日本銀行が発表した9月の企業物価指数は前年同月より9.7%も上昇、19か月連続で前年同月を上回り、過去最高を更新した。資源価格の高止まりに加え、急速に進む円安が響いたかたちだ。

この物価上昇に歯止めをかけるため日本銀行は政策の修正を打ち出すべきでは、と訴えるのが野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏だ。

木内氏はリポート「為替介入でも止まらない円安が物価高懸念の中心」(10月13日付)の中で、

「主要国の中では唯一、為替の安定に配慮した金融政策運営を行っていないのが日本銀行である。他の中央銀行とは異なり、通貨安回避も含めて物価の安定確保に向けた取り組みを示さない日本銀行の姿勢が、長期間にわたる物価高を許してしまうことを、企業、家計、政府は懸念しているのではないか」

と疑問視した。

日本銀行自身が発表した企業物価統計(9月速報)を見ると、日本の物価高のけん引役が、海外での食料・エネルギー価格の上昇から円安にシフトしてきていることを裏付けているという。

円安急加速で日本経済はどうなる?(写真はイメージ)

「その結果、日本の物価高現象を、国内政策の手が及ばない海外の商品市況高のせいにすることは根拠を失ってきている。日本政府が担う為替政策、為替市場に影響を与える日本銀行の金融政策が、国内物価動向、先行きの物価見通しを決める大きな要素となってきたのである」

つまり、政府がいくら物価高対策を行っても、世界で孤立状態にある日本銀行の金融緩和策に大きな原因がある円安に手を付けないと、根本的な解決にならないというわけだ。木内氏はこう結んでいる。

「政府による為替介入実施後も円安進行に歯止めがかからず、その効果について期待が次第に剥落するなか、日本銀行が為替の安定を通じた物価安定の確保に強い姿勢を示し、それを裏付ける政策修正を行うことへの期待は、今後さらに高まっていくだろう」

(福田和郎)

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