円安是正、経団連会長「あらゆる手段を講ずべきだ」
2022年10月17日
経団連の十倉雅和会長は17日の記者会見で、外国為替市場で急速に進む円安ドル高の要因について、日本と米国の金利差だけでなく「日本の経済構造の弱さからだ」とした上で、企業活動や国民の消費生活に大きな影響が出ているとして「短期と中長期の両方の対策が必要で、あらゆる手段を講じるべきだ」と政府に注文をつけた。
短期の対策としてエネルギーコスト高への対応を挙げ、政府が導入を検討している電気・都市ガス料金の負担軽減策を評価。中長期的には日本経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を高める施策を求めた。
政府・日本銀行の市場介入については一定の意義を認めながらも、インフレ抑制を重視する米国がドル高を容認している現状では「米国や世界が一緒に(協調介入を)やろうという動きにはならず『伝家の宝刀』も苦しい」と、介入の効果は限定的との見方を示した。
一方で「円安を逆手に取って日本経済を強くしていくべきだ」と提言。円安の恩恵を受けるインバウンド(訪日外国人客)の消費拡大を進め、日本を体験した人たち向けに「ソフトカルチャーや食を輸出していく手もある」とした。
また「(国の)根幹となる食やエネルギーの安全保障をあまりにも国外に頼りすぎている」と危機感を示し、エネルギーと食の自給率を高める取り組みを急ぐべきだとの認識も示した。