円買い介入の効果短命か、年内には再び対ドル安値更新も視野
(ブルームバーグ): 政府・日本銀行が22日に実施した約24年ぶりの円買い介入は、一定の力を発揮したが、その効果は長くは続かなそうだ。市場関係者からは介入効果を評価する声も聞かれるが、内外金利差拡大や高水準の貿易赤字などから、再び円安が強まり年内には1998年に付けた147円60銭台を更新するリスクが意識されている。
JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、「ここまでの円安は基本的にファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に沿った実需の円売りが大きく、介入したことで逆にこれから投機的な取引が助長されることになる可能性が高い」と26日付リポートで指摘。年末年始に向けて日本の貿易赤字が高水準を維持、場合によっては赤字が膨らむ可能性があることや世界との政策金利差から円キャリートレードが活発化することなどを予想し「ドル・円は98年に付けた147円台半ばを上抜け、150円台を目指すことになるだろう」とみている。
22日午後3時半から行われていた黒田東彦日銀総裁の会見中、円は対ドルで145円90銭まで下落。その後、財務省の神田真人財務官が為替介入の実施を明らかにすると140円台まで円買い戻しが入った。
バークレイズ証券の門田真一郎チーフ為替ストラテジストは、介入の影響は大きかったとみている一方で、過去、市場の転換点につながることも多かった協調介入とは異なり、単独介入は通常市場の中期トレンドを展開することはなく、その効果も短命に終わることが多い、と24日付リポートに記述。「介入のシグナル効果は実施された145~146円台でドル・円の上値を抑えるか、少なくとも円安速度を抑制する公算が大きい」とみるが、米実質5年金利との連動性を踏まえると日米金融政策格差支持されて中期的なすう勢は変わらないとも指摘した。「過去の介入が単発に終わることはまれだったことを踏まえると、圧力が強まれば追加的な為替介入が意識される可能性もある」とみる。