半導体、天然ガス、優秀な人材も…「買い負け」し続けた日本を待つ「悲しすぎる未来」

2022年09月05日

 前編記事「マグロ、イカ、牛肉..."円安地獄"の日本が中国に「買い負け」するヤバい実態」では食品の買い負けの実態を見てきた。だが、それ以外の業界でも買い負けが大きな影響を及ぼしている。 【実名公開】アフターコロナ「生き残る大手企業・倒れる大手企業」160社!

半導体が手に入らない

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 「昨年12月に給湯器の修理を依頼したのですが、品薄だと言われ、交換までに4ヵ月かかりました。その間は銭湯に通って凌いでいました」(都内在住・30代男性)  「納車まで半年~1年待ちになることもあります。新車をあきらめる方も多いので、中古相場も急騰しています」(都内ディーラー・40代男性)  近頃、耳にすることが多い電化製品や自動車の「品薄」。実はその原因も「買い負け」にある。  日本が買えなくなっているのは、半導体だ。電子機器を制御するマイクロコンピュータの製造に欠かせない素材であり、「日の丸半導体」という言葉もあるようにかつては日本のお家芸だった。  「ところが、安価な海外の半導体に押され、現在は台湾や中国企業からの輸入がほとんどとなっています。半導体の製造を請け負う企業は、日本のメーカーだけを相手に商売しているわけではありません。スマホ、家電など世界中から受注して、より高く、より多く半導体を買ってくれるメーカーを優先しているのです」(百年コンサルティング代表・鈴木貴博氏)  日本の自動車メーカーや電機メーカーは他国のメーカーより高い値を提示できないと、半導体の供給が後回しにされてしまう。トヨタは今年の8月に生産調整を行い、世界全体で約15万台の減産となった。  岸田政権は国産の半導体の製造を強化するために1兆4000億円を超える投資を行うことを表明しているが、目の前の危機を打開することはできない。

天然ガスの奪い合い

 さらにはエネルギーの「買い負け」という、より深刻な危機も待ち受けている。  「昨年末、中東のカタールが、東京電力HDと中部電力の火力・燃料合弁会社『JERA』とのLNG(液化天然ガス)の大型販売契約を打ち切りました。25年も続いた契約で、年間550万トンを買い付けるものでした。  この判断に影響を与えたと考えられるのが、昨年夏に策定された『第6次エネルギー基本計画』。この中に、'30年までにLNGの比率を27%から20%に減らすと書かれています。資源産出国からすれば、LNGの需要を減らしていく日本と積極的に契約を続ける理由はありません」(前出・田代氏)  加えて日本にとって頭が痛い問題が、ロシアと共同で開発した極東の天然ガス田「サハリン2」だ。  日本のLNG輸入量の約9%をまかなっている大型ガス田で、三井物産と三菱商事が出資し、プラント建設も担当した。しかし今年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まったことで、両社は岐路に立たされた。結局、ロシア政府は両社の権益維持を承認したものの、将来的に日本がロシアから天然ガスを買い続けられる保証はない。  「ロシア側からすれば、今でもロットが大きく今後の成長が見込める中国がLNGの売り先として圧倒的に魅力的でしょう。実際、ロシアから中国へのLNGパイプラインの増設計画も進められており、サハリン2を確保できたとしても日本が劣勢に立たされる可能性は高いでしょう」(田代氏)

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