厳しい米中関係 バイデン大統領と習主席の首脳会談では台湾問題で激しくやり合い…米当局者、日本の役割に期待 ワシントン報告

2022年11月21日

【ニュース裏表 峯村健司】 2年半ぶりに米首都ワシントンを出張で訪れている。朝晩になると、気温はマイナスまで冷え込む。肌を切りつけるような木枯らしが冬の到来を感じさせる。コロナ禍も落ち着きをみせており、行き交う人々はほとんどマスクをしていない。 今回の訪問の目的は、接戦となった中間選挙を経て、ジョー・バイデン政権がどのような外交政策を描こうとしているのかを探るため、政府当局者やシンクタンクの研究者らと意見交換することだ。中でも焦点は、対立を深める「米中関係の行方」だった。 ちょうど、インドネシア・バリでは14日、バイデン大統領と、中国の習近平国家主席が首脳会談を行った。対面での会談は3年5カ月ぶり。会談の冒頭、習氏は満面の笑みでバイデン氏と握手を交わした。 両政府の発表では、両国は衝突を避けるための対話を続け、気候変動や食料問題での協議を続けることで一致した。また、アントニー・ブリンケン米国務長官が近く中国を訪問し、今回の協議の進捗(しんちょく)を確認することでも合意した。 「異例の3期目」を踏み出した習氏が、中国外交の基軸である対米関係を修復したい意図が透けて見える。 一方のバイデン氏も、今年8月のナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問をきっかけに高まっていた両国の緊張を緩和したいのが本音だった。 ただ、両国間の最大の懸念である台湾問題については、激しくやり合ったようだ。 中国軍の台湾への軍事的圧力について、バイデン氏は「威圧的でますます攻撃的になっている中国の行動」への反対を表明した。これに対し、習氏も「台湾問題は中国の核心的利益の中の核心であり、越えてはならない一線(レッドライン)」と一歩も譲らない考えを示した。 会談後に会見した王毅国務委員兼外相によると、習氏は2005年に中国が制定した「反国家分裂法」を持ち出し、こう言及したという。 「『台湾独立』と『台湾海峡の平和と安定』は相いれず、法に則って行動する」 この発言は習政権が「台湾独立の動き」と認定した場合は、武力行使も辞さない構えを改めて示したものだ。 こうした両国間の応酬を裏付けるように、ワシントンの当局者や研究者との意見交換では、台湾問題が主なテーマとなっている。そして、必ず尋ねられるのが、「台湾有事における日本政府の対応」だ。 自衛隊が戦争を続けられるだけの弾薬や武器をどれほど準備しているのか。中国軍の弾道ミサイルに対抗する「反撃能力」の議論はどこまで進んでいるのか。台湾有事に対する日本人の意識はどのぐらいあるのか。 具体的な質問は、米政府が台湾有事を現実の脅威として捉えつつあり、同盟国、日本の役割への期待が高いことの証左といえよう。 (キヤノングローバル戦略研究所主任研究員、青山学院大学客員教授・峯村健司)

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