国の威信をかけた安倍元首相「国葬」 万全の警備・警護のために警察と自衛隊の合同警戒を

2022年08月16日

【国防に不安あり】 この記事の寄稿に際し、安倍晋三元首相に哀悼の意を表明する。 安倍氏は7月8日、参院選の街頭演説中に凶弾に倒れた。まさに悪夢であり、日本だけでなく世界を震撼(しんかん)させた。 【実際の写真】吉田茂元首相の国葬で、祭壇に献花される皇太子ご夫妻 ロシアによるウクライナ侵攻や、中国による軍事的覇権拡大などを受けて、自由主義諸国による新たな集団的安全保障の枠組み構築が必要な時期に、世界はかけがえのない指導者を失った。 岸田文雄政権は、安倍氏の「国葬(国葬儀)」を9月27日、東京・北の丸公園の日本武道館で実施すると決めた。安倍氏を悼むために、世界各国から要人が集まる。国葬は前代未聞の規模になるだろう。国の威信をかけた国葬は、万全の警備・警護体制でなければならない。 これまでの、銃犯罪のない「安全な国=日本」というイメージは崩れ落ちた。警察庁も、警備・警護の不備を認めて、安倍氏の事件の検証を始めているが、要人警護を強化するにも時間がかかる。 米国では、国家要人の特別護衛機関「シークレットサービス」の警護エージェントだけで3000人を超えている。さらに、危険地域の外遊などリスクの高い警備・警護には陸軍特殊部隊なども加わる。あらゆる状況に対応できる態勢と規模を有しているのだ。 日本でも今回、警察と自衛隊が連携した、大規模な警備・警護体制を検討すべきだ。事件に使用された銃の製造方法も報道された。「国葬中止」を求める許しがたい犯罪予告が、地方自治体などに寄せられている。模倣犯が出ないともかぎらないうえ、テロリストの標的になりかねない。 安倍氏の事件では、医療・救命体制も疑問視されている。世界的VIPである安倍氏が街頭演説をするのに、近くに緊急時の医療スタッフが待機していなかったことが悔やまれる。 自衛隊には医官や看護官など医療スタッフがいるうえ、緊急手術ができる救急車も保持している。今後の要人警護を考えるうえで、救命救急チームや搬送チームも必要不可欠となるはずである。自衛隊は、化学・生物・放射性物質・核などを用いた「シーバーン攻撃」の訓練も行っている。この知識と能力は要人警護の力となるはずだ。 残念ながら、現行憲法下では、軍と認められない自衛隊にできることは限られている。自衛隊は捜査権や私有地への立ち入り権を持たず、平時の武器使用にも大きな制限がある。自衛隊の対処能力を要人警護に使うためには、法制度改革が必要だ。 この国を守るのは警察だけではない。高い自己完結能力を持ち、治安維持機能を担うべき自衛隊がいる。今回の国葬をきっかけに 警察と自衛隊が平時から連携しておけば、非常事態にも力を発揮できるはずだ。 =おわり ■小笠原理恵(おがさわら・りえ) 国防ジャーナリスト。1964年、香川県生まれ。関西外国語大学卒。広告代理店勤務を経て、フリーライターとして活動。自衛隊の待遇問題を考える「自衛官守る会」代表。現在、日刊SPA!で「自衛隊の〝敵〟」を連載中。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。

© 2009 Dr. straightのヘルスケア&リラクゼーションのブログ。 by https://www.stosakaclinic.com/
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう