大統領選出馬表明のトランプ「熱狂的支持」は武器か、それとも…激戦州で見た「アメリカの断絶」

2022年11月25日

米中間選挙や大統領選挙で激戦州として注目されるペンシルベニア州。ここに住んで足元から米国社会と政治を取材した朝日新聞記者が『『断絶』のアメリカ、その境界線に住む ペンシルベニア州ヨークからの報告』を上梓した。大統領選挙への再出馬を表明したトランプ氏に、支持者や政治家はどう向き合うのか。アメリカの今を報告する。 【写真】スタバやマックが買えないヤバすぎる生活...

予備選挙では大勝したものの...

予備選挙の時点では熱狂的な支持が集まっていたダグ・マストリアーノ氏だったが...〔PHOTO〕gettyimages

 次期大統領選挙への出馬を表明したドナルド・トランプ前大統領。だが、中間選挙での共和党勝利で弾みをつけるはずだった目算は外れ、党内では「トランプ離れ」の動きすら表面化している。共和党は下院の多数派を確保して勝利したものの事前予測ほどの勢いがなく、上院では民主党に敗北したからだ。  トランプ氏と共和党にとって特に痛手だったのは、上院選挙の帰趨を決めるとみられたペンシルベニア、ジョージア、アリゾナ、ネバダの4接戦州でいずれも勝利できず(ジョージア州は両党候補とも過半数に届かず12月に決選投票)、上院の過半数を取れなかったことだ。また、知事選挙でも、ペンシルベニア州、アリゾナ州、ミシガン州といった重要州でトランプ氏が推薦した候補がいずれも敗北した。  筆者は2020年夏からペンシルベニア州南部のヨークという町に部屋を借り、この町を拠点にしながら今春まで取材を続けた。その当時からすでに、今回の結果を予見させるような兆候はあった。  今回の中間選挙におけるトランプ氏への逆風を象徴するのが、ペンシルベニア州知事選挙の共和党候補ダグ・マストリアーノ氏の戦いぶりだ。  元陸軍大佐で州議会議員のマストリアーノ氏は、2020年秋の大統領選挙でトランプ氏が敗れた後、大規模な選挙不正があったという主張の先頭に立ってきた人物だ。新型コロナ対策では、反行動制限、反マスク、反ワクチンの姿勢も鮮明にしていた。  共和党内で候補者を選ぶ予備選挙の段階では、マストリアーノ氏への支持は熱狂的なものがあった。筆者は2022年3月にマストリアーノ氏の選挙集会を取材したが、その熱気はトランプ集会のそれを思わせるものだった。  「彼は人々の側に立ってきた。ほかの政治家とは違う」。支持者が口にする支持の理由も、トランプ氏への支持理由とそっくりだった。マストリアーノ氏は民主党だけでなく、同じ党の共和党の政治家も批判し、「彼らは権力のことしか考えていない。私は権力を、あなた方の手に取り戻す」と訴え、喝采を浴びていた。  選挙不正主張に固執するマストリアーノ氏は、州議会で身内の共和党会派からも閉め出されるなど、孤立をしていた。だが、選挙や新型コロナ対策での過激な主張は、既成の政治家に不満を持つ人々からの熱狂的な支持につながっていた。

© 2009 Dr. straightのヘルスケア&リラクゼーションのブログ。 by https://www.stosakaclinic.com/
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう