大阪IR問う住民投票、実現しない見通し 維新府議団が反対方針
2022年07月29日
カジノを含む統合型リゾート(IR)の大阪府・市による誘致の賛否を問う住民投票条例案について、大阪維新の会府議団は29日、反対する方針を決めた。維新は府議会で過半数を占めており、条例案は同日の臨時議会で否決される。住民投票は実現しない見通しになった。
住民投票については21日、法定数を超える約19万筆分の有効署名を集めた市民団体が地方自治法の規定に基づいて吉村洋文知事に直接請求した。これを受け、吉村氏は29日に開かれた臨時議会に住民投票条例案を提出した。
府議会最大会派の維新府議団は29日、府議会が3月にIR区域整備計画を賛成多数で可決していることなどから、反対することを決めた。第2会派の公明も「(3月の)府議会での議決は非常に重い」として条例案に反対することを決めている。
一方、第3会派の自民は区域整備計画には賛成していたが、多数の署名が集まった点から「府民の意見を直接聞く必要がある」と判断。条例案のうち外国人に投票権を認めた規定などを修正することを提案した上で、住民投票の実施そのものには賛成する方針だ。
IR実施法では、誘致にあたって住民投票の実施は義務づけられていない。仮に今回、住民投票が実現したとしても、その結果に法的拘束力はない。
府市の計画では、大阪湾に浮かぶ人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市)の敷地約49万平方メートルにカジノやホテル、展示場などを事業者が整備する。府市は2029年秋~冬ごろの開業を目指し、今秋に国から認定を受けるとのスケジュールを描いている。一方、建設予定地では液状化リスクや土壌汚染が判明。市が対策費として約790億円を負担することに批判が出ているほか、ギャンブル依存症の問題も懸念されている。【澤俊太郎、石川将来】