孫正義社長、いよいよピンチか…「モノ言う株主」が「ソフトバンク売り」に動いたワケ

2022年08月22日

垂れ込める暗雲

〔PHOTO〕Gettyimages

 米国の著名アクティビスト・ファンド(モノ言う投資家)である"エリオット・マネジメント"は、保有するソフトバンクグループ(SBG)株式のほぼすべてを売却した模様だ。 【写真】孫正義が初めて明かす「僕は経営の修羅場をこうして生き延びてきた」  2022年4~6月期の連結決算でSBGは約3.2兆円の最終赤字に陥った。  過去最大の赤字の要因は、投資先のIT先端企業の株価が大きく下落したことにある。  エリオットは、SBGの孫氏の経営者としての資質に見切りをつけたとの見方もある。  これまでSBGの最も重要なメリットであった、同氏の資質に懸念を持つことは見逃せないポイントとみるべきだろう。  また、SBGの成長に決定的に重要な役割を果たした、アリババグループの事業運営体制が急速に不安定化していることも見逃せない。  SBGが新規株式公開(IPO)を目指している英国の半導体設計会社アームの先行きも楽観できない。  特に、半導体市況の軟化懸念が高まっていることは大きい。  エリオット以外にも、先端分野でのリスク削減に動く主要投資家が増えつつある。  ウクライナ危機などをきっかけにして、世界経済の脱グローバル化は勢いづいている。  世界の金利は上昇しやすくなるだろう。  リーマンショック後の世界的な金融緩和が支えた株価の調整懸念は高まっている。

業績悪化懸念一段と高まるSBG

 2020年2月上旬、エリオットがSBG株を買い進めていることが明らかになった。  その時点でエリオットは25億ドル(当時の為替レートで約2750億円)のSBG株を取得した。  その狙いは、SBGにリスク管理体制の強化と、自社株買いを進めて株主に価値を還元するよう要求することだった。  SBGは、IT先端分野などの新興企業に投資して利得を確保してきた。  特に、同社は新しいビジネスモデルを生み出し、高い成長を実現する期待の高い起業家を発掘した。  その上で他の投資家に先駆けて出資を行った。  投資先企業の選定などに決定的な役割を果たしたのが、創業者である孫正義会長兼社長の人の資質を見抜く力だ。  2000年、アリババの創業間もない時期に孫氏はジャック・マー氏と10分間の面談を行い、即座に投資を決定した。  その後、アリババは急成長を遂げ、株価は急上昇した。  SBGはアリババ株を担保にして金融機関から借り入れを増やすなど資金を調達した。  その資金を用いてビジョンファンドなどが設定され、投資事業は急拡大した。  逆に言えば、SBGの事業運営のほとんどが孫氏に依存している。  エリオットはそうした事業運営体制を問題視した。  また、SBGに投資した時点でエリオットには以下のような世界経済の展開予想があったと考えられる。  世界的に緩和的な金融政策は続き、だぶついた投資資金は成長期待の高いIT先端分野の株式に流入しやすい。  グローバル化を背景に国際分業は強化され、先端企業の成長期待も高まるだろう。  IT先端企業などに投資するSBG株を取得し、事業運営体制の改善などを求めることは、資金運用の効率性向上に寄与する可能性が高いと判断されただろう。

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